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オピニオン メディアビジネスの新・未来地図 その4

【ブログパワーは、どこから来てどこへ行くのか】
おさらい:ブログとアメブロ‥頭打ち気味の中の一人勝ち

2010年06月07日 須田伸(サイバーエージェント コミュニケーションディレクター)、倉沢鉄也、今井孝之


(本稿は、2009年11月に実施した討論会の再録です。所属、肩書きはいずれも当時。)

(倉沢)須田さん、よろしくお願いします。
最初に言い訳しておきます。今回の日本総研側のメンバーは、私以外は20代半ばから30代半ばまでの人たちですが、実は私も含めて誰も個人ブログを開設しておりません。書き物、しゃべりを生業としてエネルギーを注ぎ込んでいると、どうしてもプライベートで書いて発信しようというエネルギーが残っていないです。逆にブログやSNSについてマスコミに語ったりコンサルティングをしたりしている側面もあり、個人的体験からブログを語る資格があるか怪しいメンバーですが、言わばアメーバブログのプロデュース側のカリスマである須田さんに、今日は教えていただきつつ、チャレンジしたいと思います。
まずは日本総研側の勉強も兼ねて、簡単にマクロな数字や傾向をレビューさせてください。
デジタル・コンテンツ市場は伸びているのは当然として、その中で近年伸びているのはテキスト系のコンテンツです。テキストから音声、動画、と技術的には高度になっていくのでしょうが、1対nで発信される動画よりも、n対nで発信されるテキスト、つまりブログやSNSのビジネスを束ねることで、大きな数字になっていると解釈していいでしょう。これは交通検索系や新聞報道なども含めての数字だとは思います。
そのテキスト系市場は、ビジネスというお金の規模感としては9割方はケータイでの利用になっています。そうは言いつつも、いわゆるリッチコンテンツ系をパソコンで、という流れも、ほぼ横ばいで3割くらいの市場で存在しています。
しかしインターネットコンテンツのビジネスも曲がり角に来ています。2008年までの数字ですが、利用時間数は増えているのにページビュー数が頭打ちになったというデータが出ています。つまり同じページにじっくり滞留している人が増えたということでしょう。これをどう解釈するかが難しいのですが、一つは映像・音楽を同じサイトで見ている人、もう一つはブログを書いたり読んだりしている人と考えられます。いずれにしても、コンテンツに滞留する人に対して、広告ないしリコメンデーションでお金を取ろうとしたときに、ページビューといういままでの取引単位だけでは媒体価値を表現するわけにはいかなくなってきているようです。
この視聴時間数は、ブログとSNSについてはインターネット全体の中で一定の割合も占めてはいますが、2006年以降あまり伸びていないようです。時間だけで見るとむしろ動画共有サイトの一部が増えてきているようです。また個人的に意外なのは、主要広告主のサイト、つまりブログやSNSからスポンサーサイトに飛んでいった先の時間が結構長いということです。
アクティブなブログの数は200万くらいあるようです。記事数も緩やかな伸びになっています。ただしその総務省の調査結果はオープンドメインでのブログの調査なので、SNSが入っていません。ミクシィの公式発表ベースで見る限りは、2007年まではブログを代替するようにページビュー数が伸びていましたが2008年以降はやや伸びがゆるやかになっていて、2009年現在も傾向は似た状態になっていると思われます。
ブログもSNSもビジネスとしてはこれまで多くをマス広告とアフィリエイトの両方で支えてきましたが、近年はアバターを売る、実体のある商品を売る(eコマース、オークション)ほうも比重を高めてきていて、インターネット広告すらも頭打ちになっているこの広告不況の中で、物売り手数料収入、というものを重視せざるを得なくなってきています。
やや古いデータですが、それはサイバーエージェントとミクシィの共同調査で端的に現れています。Mixiやブログで誰かが薦めているものを買ったことがある、買おうとしたことがある、という人が半分からいます。
その動機として、人の日記を見た、一般のコミュニティーを見た、というのが上位に来ています。見たブログは必ずしも知っている人だけでもない、というので、言わばネタを仕込んで話題づくりをさせるという、コミュニティー・タイアップと呼ぶべき状態がすでに2006年時点で顕著に現れていると言えます。これを小売マーケットとしては捨て置くわけにいかない状況にあります。
こういう展望の中で、須田さんにお話を伺います。

(須田)マクロなところは、倉沢さんが大筋ご説明された流れの中にあります。その中でのアメーバブログの立ち位置については、Technoratiというブログ検索サービスがかつて出していたオープンソースな情報で端的に現れています。2008年10月29日から1年の経過で、投稿ブログ記事数ではアメーバブログが42.5%から59.7%に伸びてダントツ、ということになりました。内部の数字ももちろんですが、外部のレイティングのデータを見ても、現在アメーバブログのページビュー、ユーザー数ともにすごく伸びています。その中でマクロにはブログが頭打ちだということは、アメーバブログの一人勝ち状態だということです。現在、アメーバブログポータルのページビュー100億PV/月を超えています。

(倉沢)絶対数すらも、ほかのサイトはプラマイゼロに近いですね。実数で増えているのがアメーバブログだけという見方をしたほうがいいですね。

(須田)そうですね。アメーバブログが30万~50万のエントリーがあります。続くところは7万、5万ですね。そういう規模感です。

(倉沢)そうして次々に増えているブログユーザーの生態・実態は、近年変わってきているのでしょうか。素人目には、アメーバブログというのは、タレントブロガーが目立って、ある意味でお行儀のよいブログというか、尖ったユーザーが多いわけではなさそうだなと感じています。

(須田)初期のころからアメーバブログは、アーリーアダプターの人からしてみると自由はきかなくて面白くない、タレントブロガーを揃えてきて内容がぬるい(インパクトがない)、という言われ方があることは事実です。そういう意味では、一般の人たちの参加が増えてきて、タレントさんやペットのことでコミュニケーションが行われている状態は、ブログパワーの裾野の広がりだと言っていいと思います。ブログというものが、アーリーアダプター向けの珍しいサービスだけではなく、誰もがやっていて、人々のものになってきているのかなと思います。実際に広報の現場でも、新聞記事中に「ブログ(ミニホームページ)」という説明書きはなくなってきているはずです。

(宮脇)ユーザーというのは、投稿者と閲覧者とその両方ですか。

(須田)両方ですね。ROM(Read Only Member:閲覧のみ)だけの人も含めて、裾野は広がってきていると思います。発信者についても、主婦の方、定年退職された方、などが増えてきていて、自分の時間の中で自分をより表現したい人、ほかに発表の場がない人、の発信も深めて、一般化してきているのが実態です。そうした、一般化しつつあるブログに感化されて、昨日までは読むだけだった人が、自分も発信していいのだという感覚をもっているようになっていると思います。
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