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グリーン・マーケティングの現場から

2024年05月31日 グリーン・マーケティング・ラボ(GML)、佐々木努、前田もと子、穐津健太


 脱炭素や脱プラ、フードロス、サーキュラーエコノミー、生物多様性。環境を巡るさまざまな課題解決は喫緊の課題として広く社会に認識されている。各所で好事例も見られ、官民一体で推進に向けた機運が高まっている。種々の制度や補助など政策分野では一定整備が進み、企業もそれを事業機会と捉えて取り組む動きも進む。
 とはいえ、笛は吹けども踊らず、総論賛成・各論反対、補助金頼みで自律自走からは程遠い、という側面があるのも偽らざる現状である。脱炭素に関する生活者の意識は期待するほど高まっておらず、生活者が自発的にグリーンな商品を買い求める状況にない。グリーンな市場の創出・拡大が半ば生活者不在で進められているとも言えるのではなかろうか。
 これに対し、グリーンな商品を求める生活者を増やすべく、国や自治体も力を入れている。脱炭素領域では「デコ活」という名称で生活者の行動を変容する政策(国民運動)が進められており、当該領域に関心を寄せる民間企業も多い。2030年・2050年の脱炭素目標の達成に向け、生活者行動変容は重要な政策課題に位置付けられている。
 こうした背景もあり、日本総研グリーン・マーケティング・ラボ(以下「GML」)では、脱炭素の話題を皮切りに生活者の行動変容を促す活動に挑戦している。2023年9月には、メーカーや小売流通の企業など全10社でチャレンジ・カーボンニュートラル・コンソーシアム(以下「CCNC」)を立ち上げ、実際の商品・店舗を通じた生活者の脱炭素行動変容に関する仮説検証を重ねている。2024年度も大阪府を中心とする自治体と連携して、活動の規模を拡大する計画も進めている。
 国や自治体、メーカー、小売流通との対話や実証試験でのID-POSデータの分析結果、アンケートやインタビューで得た生活者の生の声など、GMLの活動を通して見えてきた課題を「グリーン・マーケティングの現場から」と題した連載で紹介する。なお、各回読み切り形式で記述しているので、関心あるタイトルからご覧いただければと思う。全編通して読了いただければ、私たちGMLの課題意識が伝わるだろう。批判でも共感でも構わないので、是非、率直なご意見をお寄せいただき、この連載をグリーンな市場創出の契機としたい。

第1回 メーカーと小売流通の関係に揺れる現場
 「棚に置いたら売れる?売れるから棚に置ける?棚にも置けないし売れないものはどうする?」
 ~CCNC店舗実証でのユーザーアンケートとPOSデータ分析から考察する~

第2回 脱炭素の関心が低いことを忘れがちな現場
 「まさか全員の心を動かすつもり?そもそも多くの人が脱炭素に関心がないのだけど・・・」
 ~生活者の脱炭素購買行動に関するセグメンテーションから考える~
   
第3回 真面目に取り組み、遊び心を忘れがちな現場
 「きっかけは理屈じゃない。ロジックだけでは人は動かない。ワクワクとトキメキも大事?」
 ~触れる・学ぶ・取り組むのプロセスを考える~

第4回 グリーンウォッシュ批判に悩む現場
 「環境のテーマとなると真面目に難しく伝えがち。伝えて終わりではなく、相手に届くまで。」
 ~生活者の脱炭素リテラシーの向上が脱炭素市場創出のカギを握る~
   
第5回 小さい成功事例と仲間づくりを求める現場
 「みんなでやれば怖くない。競争と協創。言うは易く行うは難し。」
 ~身近な人、従業員から始める。企業による啓発・教育の勧め~

第6回 グリーン・マーケティングの処方箋を求める現場
 「売り手のためのコミュニケーションから、買い手のためのコミュニケーションへ。」
 ~22兆円のお金の流れを変えることで自律自走する脱炭素社会を目指す~


※記事は執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。 
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