Project DR Live Runプロジェクト

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インタビュー内容、役職、所属は取材当時のものです。

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K.Matsui

2020年 新卒入社
経済学部

DR Live Runプロジェクトの運用チーム立ち上げからメンバーとして参画。その経験を活かしリーダーとしてプロジェクト全体をまとめ目標達成に導いた。現在、運用業務高度化施策メンバーとして、東西拠点に依存しない運用体制の実現および業務効率化に取り組んでいる。

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R.Kitajima

2022年 新卒入社
法学部

SMBC海外向けシステム運用を担当し、DR Live Runプロジェクトの複数システムでメンバーやリーダーとして尽力。現在、本プロジェクトでの経験を活かし、開発部署にて国内法人向けシステムのレジリエンス強化に取り組んでいる。

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M.Muto

2022年 新卒入社
経営学部

DR Live Runプロジェクトでは、複数システムにてメンバーやリーダーとして幅広く貢献。DR Live Runの年次サイクル運用に向けてプロセスの仕組み化を主導し運営体制を整備。現在、外為システム再構築案件に参画し、レジリエンス強化と運用業務範囲拡大に取り組んでいる。

災害時も止まらない銀行システムを実証する。災対機運用の実効性を高め、人と仕組みのレジリエンスを磨いた軌跡

イントロダクション

社会インフラの一つである金融システム。災害やサイバー攻撃といった非常時にも確実に稼働し続けることが求められます。そのために「DR *(災対)機」が存在しているのをみなさんはご存知でしょうか。この待機系の災対機を、稼働系の本番機として使用し、その実効性を組織として証明することは容易ではありません。日本総合研究所が推進する「DR Live Run」は、まさにその難易度の高い検証に取り組むプロジェクトです。通常は待機状態にある災対機を一週間連続で本番稼働させ、環境差や人員差を越えて業務継続の確実性を実証していきます。災害多発国の日本において、「もしもの時にも金融システムを止めない」という使命を背負いながら進められた取り組みの内部には、チームとしての挑戦と、個々の成長のプロセスが刻まれています。プロジェクトリーダーを務め、複数の案件推進を担った松井、北島、武藤。「DR Live Run」プロジェクトの実像を、この3名の言葉から紐解きます。

*DR…Disaster Recovery(不測事態発生時に、システムを復旧させる体制や仕組み)

プロジェクトの目的

「止まらない銀行システムを実証する」。DR Live Run の入口で見えていたそれぞれの景色

K.Matsui

DR Live Run は、災害やサイバー攻撃などの非常時に備えて「銀行システムが本当に止まらず動き続けるのか」を実証するプロジェクトです。普段は待機状態にある災対機を、本番機と同じ状況で一週間稼働させ、どのような環境でも安定して業務継続できるかを検証します。本番機と災対機は構成や運用の前提が異なる部分もあり、その差を埋めて「どの環境で運用しても、同じシステム品質を提供できる」というのが、この取り組みの核になります。そのような一大プロジェクトにリーダーとしてアサインされたときは、率直に言って「本当に私がリーダーで大丈夫なのか」という不安が大きかったです。当時の私はまだリーダー経験がなかったので、自分の発言がそのままプロジェクトの決定事項になる責任の重さがのしかかり、プレッシャーの方が勝っていましたね。一方で、これまで培ってきた経験の成果を示す絶好の機会だとも感じていました。やるからにはやり遂げたいという気持ちでスタートしました。

R.Kitajima

私は「ついに大規模案件にアサインされた!」といううれしさが大きかったです。普段はあまり注目されない災対機の運用だからこそ、意義のあるプロジェクトだと感じました。それまで担当していた災対機の運用業務は、業務の特性上ダイナミックなやりがいを得られるシーンが少ないと思っていました。そうしたときにDR Live Runプロジェクトのメンバーや、リーダーとして声がかかり、「私の業務が、確実に誰かの役に立っている」と実感を持てるチャンスだと思いました。

M.Muto

以前から松井さんを尊敬していたので、松井さんがリーダーを務めるプロジェクトに、メンバーとして声をかけていただいたときは本当にうれしかったです。「松井さんからできる限り多くを吸収したい」「いつか私も松井さんのようにリーダーになりたい」という気持ちでしたね。その後実際に、私がリーダーを務めた際には、私に務まるのだろうかという不安もありましたが、これまで先輩方から学んだスキルを活かす絶好のチャンスだと捉えていました。

準備期間

チームで挑むレジリエンス強化 ― 多様な環境・複数システムの運用をどう共通品質へ寄せていったのか

K.Matsui

DR Live Run は、同じシステムでも毎年、機能の追加などで変更される点があるので、「毎回が新しいプロジェクト」という感覚があります。稼働系の本番機と待機系の災対機では、担当者の運用経験の差や運用環境が異なるので、その差をどう埋めるかが最初の課題でした。中でも、災対機の担当者は障害対応の経験が少なく、本番機のナレッジをどのように移すかがプロジェクトの鍵でした。そこで重視したのが、「どの環境でも同じ品質で動ける状態をつくる」ための資料化です。手順、連絡先、役割分担、障害時の判断ポイント、想定されるエラー、その対応方針……細かいところまで書き加え、誰が見ても迷わないレベルで整備していきました。また、エラーが起きたときの「判断の揺れ」も課題でした。そこで、関係者から意見を集めて、判断基準を統一するためのルールづくりを進めました。「こういう場合はこう動く」という基準を用意することで、誰がその場にいても同じ判断ができるようにするためです。曖昧にしてしまうと、知識や経験差によって判断が揺れてしまいます。どうすれば迷わず動けるか、どの場面で認識がズレやすいかを、とにかく洗い出して揃えていく取り組みを続けてきました。そして、その最前線で実際に手を動かしてくれたのが、ここにいる二人です。

R.Kitajima

松井さんにそう言っていただけるのは本当に励みになります。特に印象的だったのは、初めてDR Live Runを実施するシステムを担当したときです。構築以来災対機での稼働実績がなく、「実際に稼働するとどのように動くのか」のデータが十分ではありませんでした。そこで、本番機で蓄積したログやエラー記録を徹底的に集め、どのような場面でどのような対応が必要なのかを細かく分析しました。分析結果から、本番機で発生しているエラー対応について、机上研修やシナリオ訓練をしっかり実施し、スムーズに対応できるように準備しました。現場での対応の質が向上していくのを実感するたびに、「私たちの準備がプロジェクト全体を支えている」という手応えがありました。

M.Muto

北島さんの話を聞いていて、タスクメンバーとして初めて参加した頃の感覚を思い出しました。当時から心がけていたのは、「漏れのない準備を整えること」です。開発や運用内部、オペレータの方々と丁寧にコミュニケーションを取りながら、全工程の課題を一つずつ潰していく。その積み重ねが当日の安定稼働につながるという実感が、徐々に自分の中で確かな手応えになっていきました。それは、リーダーを任されるようになってから視座が一段と高くなったように思います。準備の曖昧さがそのまま当日の負荷として返ってくる経験を通じて、「準備9割・当日1割」の重要性をより強く意識するようになりました。作業計画を細かく分解し、会議では「何を決めるべきか」を明確にして議論を進める。そうした運営を徹底することで、関係各所との調整も格段にスムーズになり、チーム全体が余裕を持ってプロジェクトに臨めるようになっていきました。

K.Matsui

二人の話を聞いていて改めて感じるのは、DR Live Run は「現場の知見をどう一つに束ねていくか」が本質だということです。システムの特性や、作業者ごとの経験値など、前提が揃わない状態では対応の質も揃いません。だからこそ、準備段階でどれだけ丁寧に認識をそろえていけるかが、プロジェクト全体の安定を左右します。現場で得た知見を共有し合いながら改善を重ねていくことで、レジリエンスは確実に強くなる。チームでの取り組みは、その「継続的な底上げを支えてくれた大きな力」になりました。

実働当日

「日本の銀行は動き続ける」ことを示す。海外からも注目される災対機稼働の舞台裏

K.Matsui

DR Live Run は、1週間にわたって待機系の災対機を、稼働系の本番機として使用し続けるので、その期間は普段の運用とは比べものにならない緊張感があります。特に、災害の多い日本では「銀行システムが確実に動き続ける」こと自体が社会的なメッセージになります。海外からも「普段稼働していない災対機を本当に動かすことができるのか」と注目される領域なので、安定稼働を証明することは、私たちの達成感だけではなく、組織としての信頼にも直結します。実際、今年も全案件を無事に完遂し、1週間の連続稼働をやり切れました。準備段階では見えなかった課題も当日は次々に現れますが、そこで「どう対応するか」を全体で認識合わせし、場面に応じて適切な対応をすることが、稼働を安定させる鍵になります。私は全体の状況を見ながら、どこで課題が発生しているか、どの情報を基準にすべきかを調整し、このプロジェクトが社会に対して「確実に動き続ける」ことを証明できるように意識していました。

M.Muto

本当、この1週間は緊張しますね。稼働中に何かあっても正しい対応が出来るよう、細かな状況変化を正確に共有していくことを意識していました。特に、準備段階では見えてこなかった小さなズレが、稼働当日では大きな影響に変わることがあります。そうしたときこそ、自分が理解している前提・リスク・依存関係を簡潔に伝え、周囲と共通認識を持つことが不可欠でした。プロジェクトが無事完遂できたときは、率直に安心しました。松井さんが言っていたように、この取り組みは日本の金融レジリエンスを外部に示す意味もあり、「確実に動き続ける銀行」を支える一端を担えたことに責任と手応えを感じました。当日は、緊張感がとてもありますが、その分、終わったあとの充実感も大きいプロジェクトだと思います。

R.Kitajima

私も準備期間から稼働当日まで、情報を詳細に共有し続けることを特に意識していました。小さな変化への気づきが、障害を防ぐ第一歩になるため、運用という立場だからこそ気づける情報は、常に発信し続けていました。結果的にその取り組みは、システムの安定稼働にもつながったと感じています。1週間の連続稼働を終えたあとは「無事にやり切れた」という達成感がありました。また、プロジェクトとしての成果だけでなく、準備から積み上げてきた細かな判断や調整が、組織として正式に認められた瞬間だったと思います。

未来へ

経験が変えた視点と、次の挑戦へ向かう意志

K.Matsui

DR Live Run プロジェクトでは、これまではシステムの運用管理という観点から、安定して稼働させることを最優先に考えてきました。障害が起きたときにどう対応するか、円滑に稼働させるためにどこまで事前準備をしておくべきか、といった点に意識が向いていたと思います。プロジェクトを通じて、その重要性を改めて実感できましたし、自分の中でも運用管理者としての視点がかなり整理されたと感じています。この経験を活かして、今後は上流の開発工程からプロジェクトに関わっていくことで、運用しやすいシステム構築そのものに貢献していきたいと考えています。障害対応や運用設計で工夫するだけでなく、そもそもの仕組みの作り方から関わることで、より根本的な品質向上や運用効率化に寄与できるのではないかと思っています。

M.Muto

今回のプロジェクトで、私の中で最も大きく変わったのはやはり「取り組み方の基準」だと思いますね。また、「後輩にとっての手本でありたい」という意識も強くなりました。自分が感じてきた不安や迷いを、次のメンバーにはできるだけ渡さないようにしたい。自分が学んできた「準備の意味」や「判断の根拠」を後輩と共有しながら、一緒に積み上げていくことに責任を感じています。今後は AI を活用した効率化や仕組み化 にもっと挑戦したいと考えています。当社でも自動化に取り組んでいますが、まだ改善できる領域はあると思っています。クオリティを落とさず、業務をもっとスムーズに回せる環境をつくることに興味がありますし、課題を分解したりプロセスを設計したりするのが好きなので、プロジェクトの立ち上げから改善・改革まで一貫して関われるような役割に挑戦したいです。

R.Kitajima

今回のプロジェクトで、私が一番大きく変わったのは「責任感」の部分だと思います。プロジェクトリーダーを経験したことで、自分の判断がチーム全体の方向性に影響するという感覚が明確になりました。今後は、開発部署でDR Live Run案件へ携わる予定で、開発の上流工程から参加できるため、よりお客様と近い立場で取り組めそうだと期待しているところです。自身の知識習得や調整力の向上も目指していきたいと考えています。また、これまで運用側で感じてきた課題を、作り手の立場から改善していくことで、運用と開発のどちらにもメリットがある仕組みをつくりたいと思っています。両者の間にある前提のズレを減らし、「共通の基準で話せる環境」を作っていけるような役割に挑戦したいですね。

K.Matsui

こうして振り返って話してみると、同じプロジェクトでも、それぞれが違う形で次のステップにつながる変化を得られたのだと感じます。DR Live Run は、一つ一つの作業が地味に見えても、その積み重ねが組織全体のレジリエンスにつながる取り組みですし、そこで得た気づきや学びは、決して単年で終わるものではありません。今回の経験を自分たちだけのものにせず、次に続くメンバーにも自然と引き継がれていくように、それぞれの立場でできる形に整えていけると良いですよね。今後も続いていくプロジェクトだからこそ、今回得た視点を次の改善や挑戦にしっかりつなげていきたいと思います。