People A.Fukuyama
地域資源と技術をかけ合わせて新しい産業を。収益化が見えない現状に挑み、必要となる将来の産業構造を創出していく
福山 篤史 A.Fukuyama
- インキュベーション
- 創発戦略センター シニアコンサルタント入社:2020年 新卒入社
入社動機
地域に眠る資源を循環産業の源として再定義するため、技術・事業・政策を束ねて前へ進めるフィールドとして日本総研を選択
私の価値観の源流には、島根県の中山間地域で生活した幼少期の経験があります。自然資源は豊富である一方、交通網・商業機能・産業基盤は脆弱で、小中学校まで片道1時間を要する環境でした。幼いころから「困りごとや課題はあふれているのに、解決に向けた方法や仕組みが存在しない」という感覚が常にありましたね。その後大学進学を考える時期に聞いた、環境エネルギー分野の大学の先生の講座に、大きな影響を受けました。その講義で取り上げられていたのは、生物資源やCO₂を燃料・化学品・建材などへ再利用し、地域の産業として循環させる技術です。先生がおっしゃっていたのは「ナウシカやトトロのような自然回帰ではなく、ラピュタのような技術と自然が融合する未来を描くべきでは」という視点でした。この言葉は、地域に眠る資源を技術で産業へつなぎ直す道筋を、私に具体的にイメージさせてくれた言葉でした。
その後、大学では先生の影響を受けて環境エネルギー工学を専攻し、その中でも特にバイオテクノロジーを使って地域に賦存する資源を価値化する技術開発に取り組みました。研究を進める中で感じたのは、技術単体では産業にならないということです。産業として成り立たせるには、事業モデルの設計や複数の主体を巻き込む仕組みが不可欠であり、研究だけで終わらせず社会実装までつなぐ場が必要だと考えるようになりました。そうした問題意識を持つ中で出会ったのが当社です。「民間企業・自治体とともに実装まで踏み込み、多様な主体を橋渡ししながら、現場の課題と解決策を政府へ提言する」役割が必要だと面談で伝えたとき、「日本総研ならできる」と真正面から応えてもらえたことが決め手となりました。入社後は、当初思い描いた通りの動き方ができていると実感しています。
新人時代の成長
入社直後から社会実証の最前線に立ち、多様なステークホルダーとの合意形成と制度設計を任された経験が今の基盤に
入社から2年間は、次世代交通領域での実証プロジェクトに従事していました。MaaSや自動運転の社会実装を進めるため、自治会・交通事業者・通信会社・電力会社など、異なる利害と制度を背負う多様なステークホルダーと連携しながら、実装プロセスそのものを経験。神戸市では、地域内の空き家を拠点とし、地域住民やNPOと共に、運行ルートやダイヤを設計し、新たなサービスの問い合わせ対応や車両の稼働確認まで担いました。この経験を通して数字や理屈だけでは前に進まず、住民・制度・文化を束ねる実践的な設計が不可欠であることを学びました。並行して、自身の関心領域である、バイオマスやCO₂資源の利活用に関する書籍・論文執筆も進めていました。短期で成果が見えるテーマと、社会実装までに数年を要する領域を同時に扱ったことで、時間軸を複数レイヤーで捉え、総合的に設計する視点が身についたと感じています。
実証フェーズでは、スピード感を持って仮説を検証しながらも、想定外の要因で作業が止まり、時には状況が変化することも多々あります。その不確実性の中で「どの主体が何の役割を担い、どこまで意思決定できるのか」を把握しながら全体進行を設計する経験は、現在のバイオマス・CO₂資源を活用した産業構築を目指すコンソーシアム推進に直結しています。課題は現場で生まれ、答えは単一組織には存在しない。だからこそ、泥臭い調整と制度設計の両方を担い、実装まで見届ける姿勢が必要です。新人時代は、この点を机上ではなく、現場で身につけた期間でした。
現在の仕事内容
地域に眠るバイオマス・CO₂を資源として生かした産業の社会実装が、産官学連携により実現の輪郭を持ちはじめる発展フェーズに
2022年頃からは、プログラムオーナー(自ら課題と目指す姿を提示し、その実現のために実施する複数のプロジェクト・案件のリーダー)として全国の農林水産業地域に眠るバイオマス・CO₂資源を活用した産業創出に取り組んでいます。担っている仕事は大きく3つあり、産官学によるコンソーシアム企画・運営、大学技術の社会実装に向けた伴走支援、これらの活動を通じた政策提言を行っています。単なる調査・分析ではなく、事業化フェーズまで視野に入れた制度設計と、事業のキープレイヤーの意思決定を支える材料づくりが求められます。研究者・企業・自治体が異なる速度感で動く中で、前に進める構造を組み立てることが私の役割です。そのため常にそれぞれのステークホルダーの視点に立って、会話を重ね、伴走することを大切にしています。
代表的な取り組みの一つに、カーボンサイクルイノベーションコンソーシアムがあります。京都大学と連携し、約20社の企業と複数自治体と連携しながら、バイオマス・CO₂を資源として化学品・燃料・建築資材などへ転換する産業システムを模索。コンソーシアムの立ち上げ期には100社以上にアプローチし、集った熱意の高い企業・自治体とともに、本格的に検討する体制を構築しました。目下推進しているのが山形県酒田市のプロジェクトです。CO₂をバイオマス発電の排ガスから回収し、農業分野や建築材料・化学品製造分野など地域需要へ供給し、循環利用する可能性を探るものです。技術の進捗度、供給コスト、市場価格、さらには環境影響を評価する政策動向など、多数の変数を整理しながら合意形成を進めています。短期間で事業・産業が立ち上がる訳ではありませんが、3年ほど現地に足を運び、会話を重ねることで、地域の温度感が確かに変わり、前へ進み始めている手応えを感じています。
今後の目標
今は利益にならなくても未来に不可欠となる産業を、事業として成立させるための道筋を描き、実行に踏み込む
今後は、日本の将来において不可欠となる課題をビジネスで解くことに関して、積極的に挑んでいきたいと考えています。バイオマスやCO₂の利活用は、現時点では必ずしも収益性が高い領域ではありません。この「現在は儲からないけれども、将来は不可欠な産業になる可能性が高い」領域こそ、新たな仕組みをつくる意義が大きいと感じています。特に、山形県酒田市でのプロジェクトで、住民・企業・自治体などの多様な関係者の考えや方向性が一致し始めた瞬間に、大きな手応えを感じました。また、小さいながらも具体的な前進が見えたときに、技術的な側面と制度的な仕組みが、実際の地域・現場でつながり始めたことを実感しました。産業は一気に立ち上がるものではなく、複数の合意と意思決定が重ねられた末に形成されるものです。だからこそ私は、粘り強く複数の道筋を用意しながら、多様なステークホルダーと対話を重ね、将来必要になる産業の立ち上げに関わっていきたいと考えています。
また、近年は、地元の森林所有権問題を起点にした事業化にも取り組んでいます。小規模で分散しており、多くの場合放置されている個人所有の森林資源の価値を見直し、貴重な資源として循環利用するモデルを探索しています。今はまだ前例の少ないチャレンジですが、小さな成果を積み重ねて「産業の種」を見出し、そこから新しい価値を創り出し、社会の課題解決に貢献していきたいと考えています。
1日の仕事の流れ
9:00
業務開始
出社・タスクの確認・メールチェック
10:00
メール返信・電話対応
資料作成
11:00
個別打ち合わせ@WEB
・コンソーシアムへの参画・協業を見据えたディスカッション
12:00 昼食・移動
14:00
コンソーシアム全体会議の事前準備
・社内メンバーと獲得目標・進行の流れを確認
15:00
コンソーシアム全体会議@新丸ビルオフィス+WEB
・10-20社とハイブリット形式で、コンソーシアム検討の進捗・方針を議論
17:00
社内打ち合わせ
・振り返り・この後の方針を整理
19:00
調査・資料作成
メール返信・電話対応
20:00 業務終了
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Division 事業部門
Details 社員関連
インタビュー内容、役職、所属は取材当時のものです。
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