U18の皆さん、未来を自由に考えてみませんか?
~未来デザイン・ラボは「全日本未来の科学アワード2024」に協力し、U18の未来の想像・創造を応援しています~
2025年2月17日 染葉ことの
■「全日本未来の科学アワード2024」とは
「全日本未来の科学アワード2024」は、一般社団法人ユースキャリア教育機構が主催する全国のU18を対象とした探究活動のコンテストです。応募者の奇抜な発想やユニークな視点から問いを深めた成果が、未来探究パートナーズ(協賛企業)によって審査されます。既にエントリー受付は終了しており、現在は2025年3月下旬の結果発表に向け、審査が進められています。
私たち、未来デザイン・ラボは、未来探求パートナーズの一員として、「未来ラボ賞」の受賞者を選出いたします。受賞者を選出するといっても、応募者の皆さんのアイデアに優劣をつけたいわけではありません。未来を想像・創造しようとしている応募者の皆さんの想いは、「未来は一つではなく、未来に正解はない」という私たちの考えに、通じるところがあると思うのです。
■「未来はどこかの偉い人が決めるんでしょ?」
「未来は一つではなく、未来に正解はない」とは、どういうことでしょうか。試しに、皆さん自身の未来を考えてみましょう。例えば、20年後、皆さんはどこに暮らしているでしょうか。
・今と同じところに住んでいるかもしれない
・今とは違う、日本のどこかかもしれない
・いや、日本ではなく、世界のどこかかもしれない
普通に考えると、このあたりのどれかに該当するのではないでしょうか。しかし、20年後という長い時間で捉えると、未来は、もっと他の可能性にあふれています。
近年、日本でも、日本全国の拠点を移り住みながら暮らすことのできるサブスクリプションサービスが始まっています。お手伝いをしながら各地域にプチ移住できるサービスも人気が高まっています。これらの事を踏まえると、20年後には、
・定住するのではなく、移動しながら暮らすようなスタイル
が当たり前になっているかもしれません。
また、現在、NASAの「アルテミス計画」やベンチャー企業による月面都市の構想が進められ(※1)、月への長期滞在や移住が現実味を帯びてきています。20年後には、
・月をはじめとする宇宙空間で暮らしている
かもしれません。
10年、20年という時間は、「思ってもみなかった」未来をもたらし得るのです。例えば、新型コロナウイルスの影響で、オフィスに出社しない働き方が広がりました。筆者も今、在宅でこのコラムを執筆していますが、10年前にはまさか家で働けるようになるとは思ってもみませんでした。このように、想定外の出来事によって、未来は変わっていきます。未来は想定外の変化に満ち溢れているのです。
「未来はどこかの偉い人が決めるんでしょ?だから、自分とは関係のないところで決められ、やってくる未来を受け入れるしかないでしょ?」と考えている方も少なくないのではないでしょうか。しかし、あり得る未来はたくさんあるのだから、皆さんも未来に関わったり、未来を創ったりする主体になれるはずです。また、未来は想定外の変化に満ち溢れていると分かっていれば、想定外の出来事が起こったとしても、「こんな未来もあると思っていた」と前向きに捉えられるのではないでしょうか。そうすれば、社会を悲観的に捉えたり、変幻自在に社会の変化に対応できない自分自身を責めたりすることが減っていくのではないでしょうか。
筆者は未来デザイン・ラボの中ではU18の皆さんに年齢が近い若手研究員です。私自身、つい最近まで「未来はどこかの偉い人が決めるんでしょ?だから、自分とは関係のないところで決められ、やってくる未来を受け入れるしかないでしょ?」と考えていた一人でした。いつ何が起こるか分からないから、とりあえず今を一生懸命に生きてきました。未来の兆しを集める仕事を通じて、未来は複数あると分かった今、あり得る未来のうちどれが実際に起こるかは分からないけれど、未来は自分の手のひらの中にある感覚があります。未来は身近なもので、ある程度は自分自身が関与できるものだと思うと、不思議と、今を一生懸命生きることに加えて、未来に向けてさまざまなことに挑戦してみたくなるものです(このコラムを執筆していることも、挑戦の一つです)。私が10代の頃、将来の夢を持てず、何をモチベーションに生きていけばよいのか分からない時期がありました。いまだに明確な将来の夢はありませんが、今は未来に向けてやってみたいことがたくさんあり、毎日が忙しくも楽しいです。
私たち未来デザイン・ラボは、未来を道具に選択肢や可能性を広げる「フューチャーズ・リテラシー」の活動を、主にU18の皆さん向けに行ってきました(「フューチャーズ・リテラシー」についてはぜひこちらをご参照ください)。今回の「全日本未来の科学アワード2024」についても、U18の皆さんに未来を想像・創造するきっかけをご提供することで、皆さんの人生の選択肢や可能性を広げられると考え、協力しています。
■「全日本未来の科学アワード2024」の審査、そしてその先の未来に向けて
冒頭にも述べたとおり、未来は一つではなく、未来に正解はないにもかかわらず、「未来ラボ賞」の受賞者を選出しなければならないことを心苦しく思っています。「未来ラボ賞」は、私たち未来デザイン・ラボの研究員にとって最も想定外だと思うアイデアを考えてくださった方に贈りたいと考えています。受賞の有無にかかわらず、皆さんが自由に未来を考えることに意義があるため、私たちは応募いただいたアイデア全てを尊重し、応募者全員に拍手を送ります。「全日本未来の科学アワード2024」をきっかけに、応募者の皆さんが未来を想像・創造し、ご自身の未来の選択肢や可能性を広げられることを願っています。
今後も未来デザイン・ラボは、U18の皆さんに対して、未来を自由に考える機会を積極的に提供します。U18の皆さんが未来を考えることを介して、生涯をかけて取り組みたい軸を見出す、あるいは数多の挑戦したいことを見つけることを応援したいです。皆さんが生き生きと未来に向けて歩んでいけることを切に願っています。
(※1)「あなたも月で暮らす日が? 月面都市の全貌にせまる」(NHK)