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JRIレビュー Vol.1,No.119

アジア経済見通し

2024年12月25日 野木森稔佐野淳也細井友洋呉子婧森田一至


アジア景気は、米中対立の深刻化などを背景に、低迷する中国と総じて堅調なその他アジアで明暗が分かれる展開が続いている。2025年にはアメリカのトランプ次期政権による通商政策で、中国とその他アジアの景況格差はさらに拡大する見込みである。とくに、アメリカ政府による対中関税の60%への引き上げが大きな影響をもたらし、中国の経済成長率は4%台半ばへとさらに減速する見通しである。一方、脱中国に伴う生産移転などにより、ベトナム、台湾、タイ、マレーシアなどの経済にはプラス効果がもたらされるだろう。

ただし、トランプ次期大統領はどのような政策を実行するのか分からず、その政策を巡る不確実性は大きい。これまでの言動から、①為替市場の不安定化、②アジア諸国への経済制裁、③対米関係の希薄化と中国依存の高まり、といった事態が生じる恐れがある。これらの要因を通じて、中国だけでなくアジア全体の景気が悪化するリスクもあろう。

中国政府は経済の停滞に対し、2025年3月の全人代で追加的な財政出動を打ち出すとみられるものの、その効果はアメリカの対中政策による悪影響を部分的に減殺するにとどまる見込みである。また、中国経済は深刻な構造問題を抱え、景気が大きく崩れるリスクも排除できない。経済政策が小規模にとどまるなかで、不動産市場の深刻な調整や消費低迷などを背景とした過当競争が企業業績を一段と悪化させる事態には注意が必要である。

インドでは、2025年度の成長率が前年度比+6.9%と安定成長が続くと予想される。アメリカ政府の対中強硬策で生産移転や輸出代替の恩恵を受けて、外需が伸長する見通しである。そうしたなかでも、製造業の伸び悩みは引き続き懸念材料となっている。政府内には経済安全保障上の問題があると考えられる中国からの資本受け入れが必要との声も出てきている。しかし、中国資本の受け入れを積極化し、西側諸国がインド進出を躊躇することになれば、結果的に海外からの投資が不十分となる恐れもあり、今後のインドの選択が注目される。

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