リサーチ・レポート No.2024-014
【アジア経済見通し】
「トランプ2.0」で強まる中国経済への逆風 ―脱中国の加速がその他のアジアには追い風―
アジア景気は、中国とその他アジアで明暗が分かれる展開。2025年は米国のトランプ次期政権による通商政策で、景況の格差はさらに拡大する見込み。米国政府による対中関税の60%への引き上げで、低迷する中国の経済成長率は4%台半ばへとさらに減速。一方、脱中国に伴う生産移転の効果などにより、ベトナム、台湾、タイ、マレーシアの経済にはプラス効果。
ただし、米国政府の政策動向次第では、①為替市場の不安定化、②アジア諸国への経済制裁、③対米関係の希薄化と中国依存の高まり、といった要因を通じてアジア全体の景気が悪化するリスクも。
深刻な構造問題を抱える中国では、景気が大きく崩れるリスクも排除できず。経済政策が小規模にとどまるなかで、不動産市場の深刻な調整や消費低迷などを背景とした過当競争がスパイラル的に企業業績を悪化させる事態には要注意。
インドでは、2025年度の成長率が前年度比+6.9%と安定成長が続くと予想。米国政府の対中強硬策で生産移転や輸出代替の恩恵を受けて外需が伸長する見通し。ただし、製造業は伸び悩んでおり、政府内に中国資本の積極受け入れを推す声も。
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