2026年のノーベル生理学・医学賞は、「光作動性イオンチャネルと光遺伝学に関する発見」により、光遺伝学の発展を牽引してきたKarl Deisseroth氏、Peter Hegemann氏、Georg Nagel氏に授与されました。このタイミングでの受賞は、光遺伝学が2000年代半ばの技術確立以降、神経科学の基礎研究に大きな変革をもたらしたことに加え、医療への応用が現実的な段階に近づいていることを示すものといえます。
光遺伝学は、光に応答するタンパク質を細胞に発現させ、光の照射によって神経細胞などの活動を高い時空間解像度で調整する技術です。本レポートでは、ノーベル賞受賞の背景となった技術の基本原理を解説するだけでなく、光遺伝学の可能性を示す事例として、記憶の形成・想起や感情との関係を明らかにした研究事例を紹介します。
さらに、網膜色素変性症を対象とする視覚再生の臨床開発を中心に、光遺伝学のヒト社会への実装の現在地を整理し、神経疾患、さらには他臓器への応用可能性など、今後の技術的課題を考察します。
▼目次
はじめに
光遺伝学の技術概要
光遺伝学を用いた脳機能の解明事例
光遺伝学のヒト社会に向けた実装の取り組みの現在地とさらなる応用可能性
まとめ―今後の展望と課題
参考文献
▼執筆者
大城 武史(先端技術ラボ)
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大城 武史(先端技術ラボ)
専門領域
専門は神経生理学で、アカデミアでは脳を対象とした研究を行ってきました。近年は、脳を中心にしつつも、様々な臓器から発生する生体信号を活用した新しい社会的価値創造に挑戦しています。
講演・登壇
安静時における統合失調症を対象とした多変量リップル解析(日本神経科学学会)
脳磁図を用いたヒト統合失調症における多変量リップル解析(海馬と高次脳機能学会)
最適輸送理論を用いたphase-amplitude couplingの新定量化手法(日本神経科学学会)
学習戦略としての自発脳波ーリップル波に焦点をあててー(日本神経科学学会)
一般化固有値分解を用いたヒトにおけるリップル波定量化手法の提案(日本神経科学学会)
ニューラル・オシレーションの非正弦性に着目した新たなアプローチ(日本神経科学学会)
書籍等出版物
わたしの研究ーリップル研究者の2つの羅針盤ー(日本生物学的精神医学会誌 36巻1号 新興医学出版社 2025年3月)
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