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先端技術リサーチ

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安全なデータ活用を可能にする「TEE」 — Confidential AIの基盤技術の動向と検証 ―

2026年08月14日 森 毅藤後 英哲



生成AIをはじめとするデータ活用が進展する一方、プライバシーやセキュリティへの配慮から、企業が保有する機密データを十分に活用できない場面が生じている。従来の暗号化は、主に保存時・通信時のデータを保護してきたが、AIによる推論や分析では、「処理中のデータ」をどのように保護するかが新たな課題となる。


この課題に対する技術の一つが、TEE(Trusted Execution Environment)である。TEEは、ハードウェアによる隔離、メモリ暗号化、アテステーションによる実行環境の検証を組み合わせ、OSやクラウドの管理者からも保護された環境でデータを処理する仕組みである。近年では保護範囲がCPUからGPUへ拡大し、機密データやAIモデルを秘匿したまま処理する「Confidential AI」の基盤技術として注目されている。


本シリーズでは、TEEについて、①概説・市場動向・戦略、②仕組み・理論の詳細解説、③実践的な技術検証の3つの観点から整理した。規制・市場・ユースケースを俯瞰するとともに、CPU・GPU TEEの仕組みや脅威、性能特性を解説し、Azure上でSGX、Confidential VM、Composite TEEの機能・アテステーション・性能を検証した。


調査および検証から、以下の3点が明らかになった。

  1. TEEの保護対象は、アプリケーションの一部からVM全体、さらにGPUを利用したAI・LLM処理へと拡大している。
  2. 技術選定には、性能だけでなく、保護対象、改修負荷、信頼範囲、アテステーション方式および運用負荷の総合的な評価が必要となる。
  3. 実用化には、保護環境の構築に加え、アテステーションの検証、鍵管理、証跡保存、更新対応まで含めた運用設計が不可欠となる。

一方、TEEにはセキュリティ上の残存リスクや運用の複雑さ、対応GPUの供給・コストなどの課題も残る。そのため、「何を保護し、何を信頼し、残るリスクをどのように補うか」を明確にしたうえで適用する必要がある。


使用中データの保護は、実現可能性を確認する段階から、具体的な適用対象と運用方法を検討する段階へ移りつつある。本レポートシリーズが、安全なデータ活用とConfidential AIの実現に向けた理解と検討の一助となれば幸いである。


▼シリーズ構成
  1. 概説・市場動向・戦略編
  2. 詳細解説〈仕組み・理論〉編
  3. 実践・技術検証編




▼執筆者
先端技術ラボ 森 毅
  1. 専門領域

  2. プライバシー強化技術に関する調査研究・SMBCグループ内向け適用業務に従事。現在、SMBC・JRI創発戦略センター兼務。
  3. 先端技術リサーチ

    1. プライバシー保護合成データの概説と動向
    2. プライバシー強化技術の概説と動向
  4. 学術論文

    1. 森 毅(日本総合研究所), 菊池 浩明(明治大学), 合成データ生成における匿名化の適用に関する一検討, 情報処理学会 第108回コンピュータセキュリティ, 2025.

    2. 森 毅, 近藤 浩史(日本総合研究所), 合成データ生成技術の説明方法がユーザの信頼に与える影響調査, 情報処理学会 第58回SPT研究発表会, 2025.

  5. 委員歴

    1. PWS2025実行委員会 委員

    2. データ合成技術評価委員会 委員

  6. 講演・登壇

    1. 一橋大学ソーシャルデータサイエンス学部 PBLゲスト講師

    2. 新社会システム総合研究所様主催 プライバシー保護合成データの概説と活用の最新動向


先端技術ラボ 藤後 英哲
  1. 専門領域

  2. 推薦システムなどの技術調査・技術検証に従事。
  3. 学術論文

    1. 藤後 英哲, 渡邉 一生. 推薦モデルにおけるユーザ間の類似性と多様性・新規性の関係性の検証. 人工知能学会全国大会 (第39回), 2025.

    2. 藤後 英哲, 渡邉 一生. 近傍ユーザを用いたコールドユーザへの多目的推薦手法の提案. 第24回情報科学技術フォーラム(FIT2025), 2025.


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