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第1部 問題提起「多死社会が抱える課題」多死社会を迎える日本 2040年の姿



 そして、最後、3点目の視点でございますが、今日、多くは企業関係者の方もお集まりです。なかには人事の担当の方も多くいらっしゃると思います。最近、やはり看護・介護・看取り、あるいはそれでの離職も含めて、非常に社員の方が看護・介護にかかわるというところを肌身に感じて、ふだん過ごしていらっしゃるのではないかと思います。
 このデータ自体は、現在働いている人のなかで介護をしている人がどのぐらいいるかというデータでございます。実際、この裏に10万人と言われる、年間で離職して介護をやることになってしまっている方々がさらにいるという状況です。
 現時点での数字なのですが、冒頭に1.3倍、約3割増しぐらいになる、ざっくり捉えてくださいと申し上げました。とすると、非常にざっくり計算をしていくと、働きながら介護をしている方がこの数字の3割増しになる。非常に算数的な発想ですけれども、そういうことでございます。
 ただ、現実的に考えると、下にお子さんが複数名いらっしゃったりとか、ご夫婦で共働きだったりすると、介護が必要な方、療養が必要な方が一人いれば、その周りに二人、三人、現実的には2点何人とか3点何人だと思いますけれども、増えていくと考えれば、3割増しどころか、4割増し、5割増しというふうなインパクトで増えてくるというのが、実際です。
 では、それはもう自分で何とかしてください。最悪、行政で何とかしてください、と言っていいのだろうか。企業は何かできるのではないかということが、最後、訴えたい視点でございます。



 勤務先に対して相談とか情報提供とか情報収集をしているのか、というのがこのデータでございまして、勤務先というのは極めて少ないです。実は、これ以外にもいろんな調査がございまして、やはりまだ勤務先に介護あるいは療養の話をすると、人事上あるいは査定上、非常にマイナスなのではないかという恐れを感じるという方は、実際のデータでも、まだまだ多くあるのは事実です。
 さらに言えば、先ほど看取りに向かっていく暮らし方ということを申し上げました。今日、お話があるかもしれませんが、在宅あるいは療養を専門にやっていらっしゃる先生方のお話を聞きますと、大体来週ぐらいだね、あと大体1カ月ぐらいだね、だから、最後の時間を家族みんな集まってゆっくり過ごしてください、なんてことをおっしゃられます。
 想像をたくましくすれば、「すみません、来月ぐらいに、あるいは来週ぐらいにそろそろ看取りだと思うので、来週1週間、休みをとります」、と言ったら、職場的には、結構びっくりされますよね。これは周りの職場環境、チーム、あるいは会社から見てどうなんだ。でも、こういうことがある意味では普通になっていく、自然になっていくような企業環境、職場環境をつくっていかないといけないと思います。3割増し、4割増しになっていった先に、本当にゆっくり過ごす、人々のバタバタバターッとしたああいう仕事の環境ではなくて、ゆっくりとした時間を過ごせるようにするにはどうしたらいいか。
 こういう意味では、企業ができること、職場ができることはまだまだあるのではないですか、というのを3点目にお伝えしたところでございます。



 今日、私のパートは視点の提起ということで、一つ目がイメージを伝えられているか。二つ目が、関連しますが、サービスの組み合わせということを考えたときに、今、細かくなり過ぎている。これは、制度の見直しも含めて考えるべきときに来ていませんか。最後に、企業として、あるいは職場としてできることはありませんか、ということを申し上げました。
 もう一つ最後に、ちょっと蛇足的でございますが、このテーマを考えていくときに大事なこと、最期の看取りというのは、極めて個人的なお話、家族の意向によるところでございます。ですから、決めつけた議論、拙速な議論はしないほうがいい。さらに言うと、家族や本人の意向も時期とともに変化します。恐らくこの後のお話もあるかもしれませんが、最初、こう言っていたのが、ちょっと時間がたつとともに変わっていくなんていうことはあります。こういった変化を受け入れていくというのは、一つ大事なアプローチなのではないか。
 もう一つは、試行錯誤を反映できていくようにする。今日、まさに、この後ご登壇いただく皆様方は現場で多くのことをやられています。この試行錯誤から生まれてきた知見、考え、アイデア、これをできるだけ取り入れながら変化させていくような仕掛け。これは、ついつい社会保障という大きな制度にしてしまうと硬直的になってしまうわけですが、これを試行錯誤していけるような、そういう少し包括的な仕組みを考えていくというのも制度を考えていくうえでは大事かもしれませんねということを、一つこれから考えるアプローチとして提起させていただきまして、まずは冒頭、私からのプレゼンテーションとさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。








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