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第1部 問題提起「多死社会が抱える課題」多死社会を迎える日本 2040年の姿



 視点の二つ目として、では、組み合わせといったときに、どう組み合わせていくか。その組み合わせ方あるいは組み合わせの伝え方をどうしていくか。お詳しい方はご存じかもしれませんけれども、例えば介護保険のサービスは、今、もう数10種類です。20を超えて、地域密着型のものも含めると、もう30種類近くございます。これを全部さらさらっと言える方は、多分、介護関係者でもあまり多くないのではないかなというぐらい、本当に数が増えています。
 何を言いたいかといいますと、それだけのものを見せられても、一体これをどう考えていったらいいんですか。例えて言うなら、パソコンを買うときにパーツショップに行って、いろんなパーツがずらーっと並んでいます。はい、どうぞ、自分に合うようにつくってください、と言われても選べないですね。大体こういう組み合わせだとこういう方向性、方針がありますよ、というのをある程度組み合わせて、そして、そのなかでじっくりとどこの方向性を私は選びたいんだ、家族は選びたいんだ、というふうに考える余力、余地をつくっていく時期に来ているのではないか、ということを一つ視点としては投げかけさせていただければと思っています。
 イメージ図で描いておりますが、ここの組み合わせは、例えば医療として何を使い、介護として何を使い、住まいとしてどれを使い、こういう組み合わせを申し上げているところでございます。皆さんも、もし自分が、あるいは家族が、親戚がといったときに、大体どういうふうな組み合わせでいくと最後の時期を過ごしていけるか、イメージが湧きますか、そういうことでございます。



 実際、申し上げた通り、何10種類もあります。本当にいろんな用語があります。住まい系のサービスだけでも非常に多くの種類があります。そして、医療でも、在宅医療と一口に言っても、いろんなタイプの診療所、病院があります。当然、介護サービスもいろんなものがあります。国共通のものから、地域密着型のものから、サービス種別だけでも違うのに、その種別のなかにさらにいろんな事業者さんがいる。
 これを選べると言えば聞こえはいいのですが、それだけ大量のものから本当に選び切れるのだろうか。もっと言うと、数が多過ぎるあまりに自分で主体的に考えて選ぶということをもはや放棄してはいませんか、といったところも一つ問題意識として持っておく必要があるのかもしれません。。



 実際、過去、調査で見ていきますと、在宅を、自宅を選びたいという方の割合は約半数。さらに、そのなかでも介護を主にしていくのか、家族介護によるケアを重視していくのか、きれいに割れてきている。つまり、それだけ、皆さん、考え方は割れている。この考え方が割れているところにどういう組み合わせで提案をしていけるのか。こういう暮らし方をしていったらいいんじゃないですか、というサービスがどういうふうに提案できるのか。ここは一つ大きな視点になるのではないかということでございます。



 最後にもう一つだけ、イメージが湧かないから敬遠しているんじゃないですか、というふうに思い切って書いていますけれども、いろんな調査はありますが、大体医療・介護、看護も含めて、こういった部分にかかわっている方のほうが、まだ一般国民よりも自宅での最期までの療養は実現可能と答える割合が多い。
 これをどう見るか。最期は自分で何とかする、という自信のあらわれと見ることもできるかもしれませんが、一つは、どういうサービスがあり、何を選ぶと何ができて、逆に何ができなくて、だから、何をするのかという、このリアリティの度合いが一般国民と経験者で違うということがある。仮にそうだとするならば、もっとわかりやすく伝えていく工夫、あるいはわかりやすく伝えられるように、サービスの組み合わせ、もっと言うと、制度の組み合わせ自体を再構築していく時期に来ているのではありませんか、ということを一つ問題提起として投げかけさせていただきたいと思います。



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