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第1部 問題提起「多死社会が抱える課題」
多死社会を迎える日本 2040年の姿


 皆さん、こんにちは、齊木でございます。
 そもそもこのテーマ、私どもは社会保障のテーマの検討をずっとやってまいりました。今もやっておりますが、社会保障が大変だということに異を唱える方はあまりいらっしゃらないかなと思います。医療の部分、介護の部分、もちろん、年金の部分。財政だけをとっても、人材だけをとっても、非常に大変だということは、恐らく皆さん一致するところかなと思っております。
 ただ、社会保障というのは、一体どこに向かっていくための社会保障なんだと考えますと、最期、まさにこのシンポジウムのタイトルの通り、最期に向かっていくためにどう暮らしをつくっていくか、なのではないかなというふうに考えたときに、やはり最期というところを真っ正面から考えてみようということをやらなければ、その手前にある医療や介護や年金の制度だけをあれこれ言っても仕方がないのではないか、というのが私たちの問題意識ということでございます。



 そして、一つ大きなこととして、看取りとか最期といいますと、皆様、お身内、ご親戚を見送られた方は数多くいらっしゃると思うんですけれども、その死の間際、死の瞬間、あるいはその直前直後の1週間、2週間だけではなくて、実は、そこに至る部分が長いのではないか。
 ここに書いてあるように、本当に最期の看取りのところだけを論じていても、実は、非常に視野狭窄になってしまう。ふと考えますと、最期、看取ったときに、いい看取りだったねというような話をする機会というのは、あまり言葉として日常用語ではないですね。いい人生だったね、いい暮らしができたね、なんていうふうな言葉にするのが普通の感覚、まさに暮らしなのではないかなと思っています。
 そういった意味では、今日、こういう企画でございますが、その最期の瞬間だけではなく、いかに暮らすか、そこに向かっていっていかに暮らし切っていくか、というところまで観点を広げて考えていきたい。冒頭から申し上げましたが、社会保障というところは当然このなかに入ってきますし、実は、社会保障だけで生きているわけではありませんので、まさに住まいだったり、街づくりだったり、ひょっとしたら、ご家族まで視野を広げれば、仕事だったり、それ以外の余暇の部分であったり、本当にすべての暮らしが入ってくる。そういう意味では、社会保障だけという視野狭窄にならずに、視野を広げて時間、選択肢を広げて議論していきたいと考えております。
 私のパートは、最初に問題提起ということでございますが、何より2040年というところに設定をしておりますので、では、2040年というのは一体どういう社会なんだということを、お詳しい方もいらっしゃるかもしれませんが、まずは確認をしてまいりたいと思います。



 ここに描いておりますグラフは、75歳以上高齢者の推移、そして死亡数の推移でございます。言わずもがな、75歳以上の高齢者、高齢者と言われる65歳以上のなかでもさらに高年齢の方の人数が増えていく。そして、2040年代に入りますと、死亡数の推計が最大になってくるということでございます。
 今が2018年、2040年と申しますと22年後ということになります。ざっくり推計の数字で見てまいりますと、計算の仕方によりますけれども、約3割内外ほど後期高齢者の数も増える。そして、死亡数もピークと比べますと3割ぐらい増えていく。今から3割ぐらい増えていくんだとざっくり捉えていただくと、まず一つイメージがしやすいのではないかなと思います。 



 そして、介護ということを考えてまいりますと、当然、要介護の方も増えてまいります。よく言われますように、単独世帯も増えていくということです。
 もう一つ、介護を誰に受けたいですかというのが左側の図表です。これは、当然、今のデータでございますけれども、22年後でございますから、仮に平均余命が85歳前後ぐらいだとしますと、ちょうどこのグラフの55歳から64歳という回答の方々がまさに最期、介護あるいは療養を迎える時期ということになります。
 もう一つ、介護を誰に受けたいですかというのが左側の図表です。これは、当然、今のデータでございますけれども、22年後でございますから、仮に平均余命が85歳前後ぐらいだとしますと、ちょうどこのグラフの55歳から64歳という回答の方々がまさに最期、介護あるいは療養を迎える時期ということになります。



 そしてもう一つ、これは供給側のお話でございますが、とくに医療や介護の人材の確保が難しいということは、本当に最近、メディアを常ににぎわしている話題でございます。ここのところを見ていきますと、就業者数全体が、現役の世代が減っていきますので、5,650万人までぐっと減っていく。一方で、医療・介護・福祉の需要が増えますので、このままのトレンドでいけば、1,060万人程度まで増やしていかなければいけない。
 この数字だけを見ていくのも大事なのですが、とくに括弧付きの隅括弧のところを見ていただきますと、就業者数全体に占める医療・福祉の人の割合が約2割というような数字の推計になっています。働く人の五人に一人が医療や介護や福祉に従事しているということですね。そんなイメージです。これ、現実的には、今考えても、そんなに医療や介護・福祉に皆さん従事してしまったら、ほかに何をするのか、ほかの産業部分の人口をどうするのか、という話が発生するわけでございます。
 ここまで悲観的な話が続いています。高齢の方が増えます、看取りの数も増えます、家族は支えてほしいけれども、家族の機能自体が狭まっていく、世帯が脆弱になっていく。さらに、働き手も減っていきます。医療・介護・福祉に割いている人材は本当に足りるのだろうか。こう考えていくと、非常に悲観的になってしまうのですが、今日、せっかくこういう機会でございますので、ここから先、これを問題と捉えずに、問題、問題と言うのではなくて、では、どうしていったらいいのか、少し前向きに視点を切り換えていきたい。
 そのために、では、どういう観点で議論をしていったらいいだろうかという視点を三つほど、私のほうから提起させていただいて、私からのプレゼンテーションとさせていただければと思っております。



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