*本事業は、令和7年度老人保健事業推進費等補助金 老人保健健康増進等事業として実施したものです。
1.事業の背景・目的
頼れる身寄りがいない高齢者等には、日常生活支援、医療・介護の利用から財産管理・死後事務に至るまで生活上の多様なニーズが存在する。高齢期から死後にかけてのさまざまな手続きを支援・代理する家族の機能が低下するなかで、頼れる家族の存在の有無にかかわらず、住み慣れた地域で最期まで暮らしていくことができる地域づくりは、地域包括ケアシステムの課題の一つとしても位置付けられている。
そのような地域づくりのためにどのような取組が必要であるかを把握・検討することを目的として、本調査事業を実施した。
2.事業の概要
本調査事業では、頼れる身寄りがいない高齢者等に関する取組を検討する自治体等を対象に、伴走支援を行った(奈良県生駒市、長野県大町市、神奈川県小田原市、金沢市地域包括支援センターとびうめ)。そのほか、先進自治体ヒアリング、自治体連絡会における意見交換等を通じて得られた知見・ノウハウも踏まえ、各地域が置かれている状況ごとに想定される取組の推進方法に関するポイントや留意点、一部の先進自治体における取組事例等について、自治体向けガイドブックとして整理した。
3.事業の成果
(1)各地域における頼れる身寄りがいない高齢者等への支援に関する取組の推進
伴走支援を行った4つの取組主体において、アンケート調査による実態の把握、地域ケア会議を活用した支援者による議論を通じた地域課題の整理、情報登録事業の運用の検討、統計データ等にもとづく地域の関係者間での課題認識の共有といったそれぞれの成果を得ることができた。

(出所)日本総研作成
(2)「地域における頼れる身寄りがいない高齢者等への支援に関する自治体向けガイドブック」の作成
本ガイドブックは、①既存情報の整理・現状把握、②庁内での取組の方向性の検討、③地域における議論の進め方、④課題解決に向けた取組の実践、⑤取組開始後、の5つの段階ごとに想定される取組の推進方法に関するポイントや留意点を整理した。また、一部の先進自治体における取組内容を事例編として整理した。
4.今後の課題
(1)自治体がすべてを解決するのではなく、地域資源のハブとなる発想をもつこと
頼れる身寄りがいない高齢者等への支援は、領域が多岐にわたることから、問題が複雑化し、自治体の庁内部署の連携等のみでは対応できないケースが存在するほか、多くの自治体では、人的・財源的なリソースが不足しており、新たな取組を進めることが難しい状況がある。地域包括支援センターや社会福祉協議会のほか、民間事業者、地域の住民団体等の外部のリソースにも目を向け、これらの関係機関等との連携による対応を念頭に置くことが重要である。
(2)支援に活用できる情報・ノウハウを集約・共有すること
既に生活支援体制整備事業等において取組を進めている自治体も多いが、地域資源に関する情報を集約・共有することは、頼れる身寄りがいない高齢者等への支援においても非常に有効と考えられる。特に、支援に対応するための制度や地域資源を認識できていない、正しく理解できていないといった経験の乏しい支援者に対する情報共有は効果的である。
※本調査事業の詳細につきましては、報告書
及びガイドブック
をご参照ください。【本件に関するお問い合わせ】
リサーチ・コンサルティング部門 シニアコンサルタント 大内亘
E-mail:ouchi.wataru@jri.co.jp
TEL:080-7599-4857
※記事は執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。

