リサーチ・レポート No.2025-002
【2025~26年アジア経済見通し】トランプ関税でアジア景気は減速へ ~ 外需依存度の高低で明暗、さらなる関税発動に要警戒 ~
2025年後半のアジア景気は、年前半の好調から一転して減速する見通し。米国関税の影響や駆け込み需要の反動が理由。ただし、減速の度合いは各国・地域の経済構造に応じて差異あり。とくに、外需依存度が高く、主力輸出品に高税率がかかる韓国やマレーシアの成長率が低下。対照的に、内需主導型のインドやフィリピンでは、減速しつつも安定成長が継続。
中国は、年後半にかけて景気が減速するものの、2025年の成長率は+4.7%と大幅低下は回避する見通し。輸出先の多角化や政府の景気刺激策が内外需を下支え。ただし、145%の相互関税が復活する場合、内外需ともに大幅悪化し、成長率は+4%を割り込む公算。
相互関税上乗せ分の発動は、その他アジア経済にも大きなリスク。とくに、外需依存度の高いベトナムや台湾に深刻な影響。加えて、行き場を失った安価な中国製品の「デフレ輸出」の加速にも要警戒。
インドは関税の影響を受けにくく、6%超の安定成長が続くと予想。世界的なサプライチェーンの再編で、生産移転の恩恵を受ける可能性も。ただし、米国のIT重視姿勢が転換され、インドのIT・BPO産業に悪影響が及ぶリスクには要警戒。
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