先端技術リサーチ
生成AIの台頭で大きく注目されるAIガバナンス ~欧米のAI・デジタル動向の考察と示唆~ 【前編】
2024年09月24日 先端技術ラボ 田谷洋一、株式会社三井住友フィナンシャルグループ シリコンバレー・デジタルイノベーションラボ 緒方雄二
近年、AIの社会実装が進んでおり、様々な業界におけるAI活用が注目されている。とりわけChatGPTなどの生成AIの登場によって、日本国内でも生成AIの活用に向けた議論が盛り上がっている印象を受けるが、米国などのデジタル先進国の状況と比較すると、国内のAI活用が大きく進展しているとは言い難い。
AIを広範に利用し、新規事業の創出や企業価値の向上に繋げるためには、AIの正確性や安全性を十分に担保することが肝要になるが、日本企業にとってAIのリスク管理がAI導入を進める上で最も大きな障壁となっている。一方、米国の動向で注目されるのは、多くの組織においてAIのリスク管理やセキュリティ対策、公平性確保のためのガバナンス戦略の立案が、AIのユースケースの検討と並行して行われている点である。
背景として、米国ではAIに関連する連邦政府の政策が活発化し、AIリスクやガバナンスを対象にした法規制の整備が加速している点が挙げられる。欧州の規制と比較すると、米国の法規制はAI導入を促進するためのインセンティブが多く盛り込まれているため、企業のガバナンス強化を促すだけでなく、企業が自社の基準に基づいてAIを活用する領域を適切に選択し、リスクをコントロールしながら積極的に実装を進めていく効果も期待できる。
本稿では、AIを取り巻く近年の動向や問題意識に基づき、主にリスクやガバナンス戦略をテーマに、日米のAI関連施策や法規制の比較、米国企業の事例紹介などを通して、日本企業がAI活用を一層進めるためのヒントを模索していく。なお、本稿は、前編・後編の2部構成とし、前編ではガバナンスの動向や法規制の動向に関する整理、後編では米国企業の事例や日本のAI戦略の発展に向けた考察を行う。
生成AIの台頭で大きく注目されるAIガバナンス ~欧米のAI・デジタル動向の考察と示唆~ 【前編】
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