呼吸は、私たちが無意識に続けている基本的な身体活動ですが、近年の研究から、呼吸のリズムが脳の活動とも深く関係していることが分かってきました。本レポートでは、呼吸の周期に合わせて脳内で生じる「呼吸脳波」に注目し、その仕組みと役割を分かりやすく紹介します。呼吸によって生じる信号が、海馬や大脳皮質などの脳領域の活動タイミングを整え、記憶などの高次認知機能の働きに関わる可能性について、最新の研究成果をもとに解説します。
また、従来の生体信号テクノロジーでは、ユーザーの生体信号を計測またはフィードバック出来たとしても、信号の解釈の難しさや状態変化を実感しにくいといった課題が指摘されています。呼吸は意識的に調整しやすい生理リズムであるため、脳状態の推定だけでなく介入にも利用できる新しいアプローチとして期待されています。こうした観点から、呼吸と脳の新しい関係性とその応用可能性を紹介します。
はじめに:調査背景と本レポートの構成について
1. 呼吸が脳波を生成する仕組み:呼吸脳波の生成
2. 呼吸脳波が脳全体へ波及する仕組み
3. 呼吸脳波と神経細胞の協調:
4. 呼吸脳波と学習・記憶: 海馬―大脳皮質 Two Stage Model
4.2. 呼吸脳波によるタイミング制御:SPW-RsとUP/Down Stateの協調
5. 呼吸脳波の産業応用:より信頼性の高い生体信号を求めて
先端技術ラボ 大城 武史
学術論文
Takei Y, Sunaga M, Fujiwara K, Ohki T, Kato Y, Jinde S. Hyperlearning Hypothesis: Network Disruption and Maladaptive Learning in Schizophrenia. Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry. 2025 Dec 24:111599. doi: 10.1016/j.pnpbp.2025.111599. Epub ahead of print. PMID: 41453483.
Ohki T, Chao ZC, Takei Y, Kato Y, Sunaga M, Suto T, Tagawa M, Fukuda M. Multivariate sharp-wave ripples in schizophrenia during awake state. Psychiatry Clin Neurosci. 2024 Sep;78(9):507-516. doi: 10.1111/pcn.13702. Epub 2024 Jun 24. PMID: 38923051; PMCID: PMC11488617.
Ohki T, Kunii N, Chao ZC. Efficient, continual, and generalized learning in the brain - neural mechanism of Mental Schema 2.0. Rev Neurosci. 2023 Mar 27;34(8):839-868. doi: 10.1515/revneuro-2022-0137. PMID: 36960579.
Ohki T. Measuring phase-amplitude coupling between neural oscillations of different frequencies via the Wasserstein distance. J Neurosci Methods. 2022 May 15;374:109578. doi: 10.1016/j.jneumeth.2022.109578. Epub 2022 Mar 23. PMID: 35339506.
メディア掲載・執筆
わたしの研究ーリップル研究者の2つの羅針盤ー(日本生物学的精神医学会誌 36巻1号 新興医学出版社 2025年3月刊行)
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