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JRI Future Signal#8 コピー可能な居住空間「住CUBE」で気軽に住み替える

(背景)地域環境を積極的に選択する時代
テレワークの普及・オンライン授業・リモート飲み会等、公私ともにリモートでの活動が広がっている中で、「その場所」にいる必要性が低下しつつある。

この状況が定着すると、住まいの選び方が変化すると考えられる。今までは、職場に近い都心部あるいは郊外、かつ、駅チカの立地にマンションを購入することが多かったが、今後は、自然環境の良い地方に住むことを選ぶ人々や、さらには、季節やライフスタイルに合わせて、定住せずに住む場所を転々とするノマドスタイルの人々も登場するだろう。 つまり、通勤の便等で住む地域を消極的に選ぶのではなく、「地域環境を積極的に選択する時代」となる。


国内住み放題サービスのADDressや、国内外で住み放題を提供するHafHは、まさにそのようなノマド生活のためのサービスだ(参考:全国ならぬ世界中住み放題)。


一方で、技術の発展に目を向けると、3Dプリンターの普及が進みつつあり、今後は大規模な製造設備がなくても、その場で必要なものを作ることが容易になっていくと思われる。また、ロボット技術を利用し、居住スペース内が利用者の選んだ設定に合わせて変形する住居のプロトタイプも登場している(参考:小さな家を拡大する「ロボット家具」が普及の第一歩)。


(変化の概要)移住先にも自分好みの内装の住居を手軽に整えられる「住CUBE」
ノマド的な生活を送るための現在の時点での課題として、引っ越しの手間や慣れた居住空間を手放すことへの抵抗感等が考えられる。このような課題を解決して、ノマド生活をより気軽に楽しむために、移住先にも自分好みの内装の住居を手軽に整えられる決まった形(立方体あるいは直方体)の住居(=「住CUBE」)が各地に整備されるようになるだろう。


「住CUBE」は、ロボット内蔵の住居となっており、自由に空間を変化させられる。例えば、住む人数に合わせて複数を連結させ、広さを調節することも可能だ。また、3Dプリンターも併設されていて、家具をその場で製作することもできる。


この「住CUBE」を借りて、自分が好きな住まいの内装の「テンプレート」を適用すれば、必要な家具・設備・間取り・内装が再現される。また、デザイナーズテンプレートも購入可能で、好みのデザインを適用した住まいを気軽に作り上げることができる。


「住CUBE」は手軽な住み替えを可能にするが、住み替えの頻度は利用者によって様々だろう。例えば、季節に合わせて(まるで渡り鳥のように)住み替える人もいれば、仕事の繁忙期に合わせて仕事に集中できる場所とリラックスできる場所を数カ月単位で住み替える人もいるだろう。また、転職しながらのキャリア形成を行うことが一般化すれば、仕事に合わせて数年単位で住み替えを行ったり、仕事を辞めて次の仕事に就く間に「人生の夏休み」としてリラックスできる場所に住んだり、という人も登場するだろう。ただし、共通していえるのは、現状の「一つのマンション・戸建てを購入して数十年単位で住む」という住まい方ではなくなっていくということだ。


(変化後の社会)所得水準やライフスタイルに合わせて「住CUBE」に住み替える
「住CUBE」が各地に普及した社会においては、賃貸住宅から始まり最終的には固定的なマイホームを買う、といういわゆる「住宅スゴロク」に代わって、「その時の住みたい場所に住む」ことが一般化し、サブスク型で提供される「住CUBE」の住み替えサービスに加入すること自体が「住まいを持つ」こととして捉えられるようになるだろう。そして、所得水準やライフスタイルに合わせ、様々なサブスクプランが提供され、生活者はその中から自分に合ったものを選ぶようになるかもしれない。


ワークライフインテグレーション・リモートワークの進展に沿って、今までの「家賃補助」「マイホーム購入の補助」に代わって、「住CUBE」のサブスクサービスが福利厚生として提供されるようになるかもしれない。


国内だけでなく、世界各国を跨いだ「住CUBE」のサブスクサービスが普及すると、国を跨いだ移住者の誘致合戦が活発化するかもしれない。それぞれの地域が、地域の独自性を今よりもさらに競い合うようになるかもしれない。


背景となる未来の兆し
全国ならぬ世界中住み放題
国内外の提携拠点が住み放題となるサービスHafHが2019年1月長崎にオープンした。日本国内定額住み放題サービスのADDressもあるがもはやフィールドは世界中。将来住むところは「地球です」と答える人がいるかもしれない。
[出所]https://www.news24.jp/articles/2019/04/10/06427661.html


小さな家を拡大する「ロボット家具」が普及の第一歩
イケアが、利用者の選んだ設定に応じて居住スペースを広げるロボット家具を発売予定。この家具は、MITのプロジェクト「シティーホーム」から生まれたオリ・リビングとの提携関係により開発された。いずれ、人間は一見何もない四角い小さい箱に住み、他の地球上の生き物にスペースを譲る可能性も。
[出所]https://www.technologyreview.jp/nl/ikea-is-going-to-sell-robotic-furniture-to-maximize-space-for-city-dwellers/



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