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日本企業の女性幹部候補生にも留学の機会提供を

2016年06月27日 翁百合


 女性の活躍が、日本経済の活性化にとってきわめて重要なテーマであることを否定する声は最近ではほとんどなくなりました。では、企業はどこまで本気で女性活躍を推進しているのでしょうか。これを測る指標には様々なものがあると思います。
 まずは、子育てとの両立など、ワークライフバランスのための制度をどの程度整備し、それを実際に女性がどの程度活用しているか。例えば育児との両立のための様々な休暇制度や在宅勤務などをどこまで整備しているかは、重要な鍵となると思います。また、働き方の改革も重要だと思います。長時間労働を抑制することは、女性のみならず男性にとっても、何より大事です。さらに、いくら制度を整備しても、それが実際に活用されなければ意味がありませんから、不備のある部分は従業員の声を聞いてさらにこれを改善していく仕組みが求められます。足元では、こうした仕組みがかなり整ってきている企業もあるという印象を受けます。
 第二は、女性の幹部登用です。能力のある女性が、会社としてどの程度の比率で管理職についているかも、重要な指標といってよいでしょう。この指標もアベノミクスの政策に反映されており、多くの企業が女性の幹部登用に注力するようになってきているように思います。
 では、女性幹部候補生が国内外の留学の機会を与えられているかという指標はどうでしょうか。企業が本当に女性活躍を推進する覚悟があるのであれば、女性に留学などの視野を広げ、能力を伸ばす機会を長期的な視点に立って提供しているかは、きわめて重要なメルクマールとなるのではないでしょうか。というのも、留学などの機会は、多くの企業で、長い間、若手で将来有望とされる男性を中心に提供されてきていたからです。長期的な視野に立って、本気で女性を育てようとするのであれば、そうした機会を男女の差別なく提供することはきわめて重要であると考えます。最近では、国内のビジネススクールに女性を派遣する企業は現れているようですが、海外というと事例はまだまだ多くはないようです。
 実は、同様の問題意識を有し、積極的にそうした機会提供に奔走している米国の大学教授がおられます。米国カリフォルニア大学サンディエゴ校のシェーデ教授は、米国では貴重な日本経済、日本型経営の研究者で、数々の書籍や論文を著されている一方、日本女性の活躍の機会を後押しするプログラムとして、サンディエゴ校で短期間の女性幹部候補育成プログラム(JUMP)を提供するべく、活動を続けておられます。JUMP とはJosei for Upper Management Programの略で女性幹部のグローバルで広い視野を醸成し、交渉力やマネージメント能力をつけるためのカスタムメードのプログラムです。
 人材の育成こそ、長期的企業価値向上のための源泉です。そして、教育機会を提供することは、向上心のある人材を採用することにつながるだけでなく、より能力を高めていきたいという従業員の自己啓発のインセンティブにもつながるはずです。こうしたプログラムに関心を寄せる日本企業の経営者、人事担当者が、ひとりでも多く現れることを願っています。                                                    

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