ビューポイント No.2026-018 米中対立下でのわが国輸出増加に向けて~「戦略的不可欠性」創出に向け、規制改革の推進を~ 2026年08月10日 牧田健アメリカの保護主義的な姿勢の強まり、日中関係悪化により、わが国の貿易を取り巻く環境は厳しさを増している。しかし、人口が減少するなか、経済成長を確保するには海外需要の取り込みが欠かせない。 輸出減少の基本的な背景には、冷戦崩壊に伴う先進国から新興国への生産拠点のシフトに加え、東日本大震災を契機とする原子力発電の稼働停止等が指摘可能。財別では、乗用車を除く耐久消費財輸出が大きく落ち込み、資本財・生産財中心の構造に。また、半導体製造の国際競争で一敗地にまみれたことも一因。一方、半導体関連素材や半導体製造装置は競争力を維持しており、高い品質は引き続き強みに。 グローバルサウスを筆頭に米中以外での需要開拓はもちろんのこと、財輸出の最大の受け皿であるアメリカ、世界最大の製造業を抱える中国との貿易関係も維持していく必要があり、わが国は「戦略的不可欠性」のある財を新たに創出していく必要。 高市政権は戦略17分野で総額350兆円超の投資計画を掲げており、このうちいくつかが将来的に輸出競争力を有する「戦略的不可欠性」のある財・産業となる可能性あり。ただし、その実現には、成長分野に労働力が円滑にシフトしていくことが不可欠。雇用流動化に向けた労働市場改革の断行に加え、外国人労働者のさらなる活用に向け、政府が率先して社会統合政策を推進していく必要。 また、政府はAI・半導体に多額の支援を行う方針であるが、同分野のみならず経営スピードが求められるなか、官民の役割分担見定めと民間の経営判断スピードアップをはかる必要。また、電力需要拡大に備え、原発の早期再稼働も不可欠。自動車産業でも、車載ソフトウェア開発面の遅れが鮮明になっており、同投資により注力すると同時に、社会実装に向けた各種規制緩和の推進も求められる状況。 わが国経済の長期停滞の主因は、「行き過ぎた緊縮財政」よりも、少子高齢化、グローバル化、デジタル化に適応できなかった側面が強い。資金を投じる事業を輸出増加につなげていくために、様々な分野の規制改革を同時に断行すべき。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)