リサーチ・レポート No.2026-001
【2026~27年アジア経済見通し】アジア経済は減速~中東危機収束後も、短期・長期両面のリスクに要警戒~
先行きのアジア経済は減速局面に入ると予想する。エネルギー価格の高止まりを受けた交易条件の悪化が内需を下押しする。米国とイランは戦闘終結に合意したものの、世界のエネルギー供給の正常化には時間を要するほか、川上からの価格転嫁が進行するため、先行きも高いインフレ圧力が実質所得や企業収益を圧迫し、消費・投資を下押しする見通しである。中東との経済的な結びつきが強いインドでは、同地域向け輸出の減少も景気下押し要因となる。また、中東危機の再燃による供給リスクにも警戒が必要である。
さらに、国際秩序が変容するなかで、中東を含む地域間の摩擦が常態化する場合、その影響は一時的な景気下押しにとどまらない。各国で適切な政策対応が講じられなければ、アジア経済の構造的な制約が強まり、中長期的な成長力の低下につながる恐れがある。
とくに、韓国・台湾では、AI関連投資を軸に半導体などの先端産業が成長をけん引しているが、これらは電力・エネルギー集約型であり、供給制約が技術進歩や生産拡大を阻害する可能性がある。ASEAN・インドにおいても、エネルギーコストの上昇は製造業の競争力を低下させるとともに、高付加価値化に向けた投資余力を削ぐことで、「中所得国の罠」からの脱却を一層困難にするリスクがある。
中国では、製造業や不動産を中心とする過剰生産能力の問題が景気停滞を招いている。構造的な内需の脆弱性に対して、需要喚起への慎重姿勢や供給力の拡大を重視する政策運営が続く場合、構造調整が遅れる可能性がある。結果として、過剰生産体質が固定化することで、デフレ圧力の強まりや対外不均衡の拡大を招き、対外的な摩擦の強まりにつながる恐れがある。
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