リサーチ・レポート No.2025-017
≪2040年の日本経済シリーズ①≫ 2040年の日本経済、GDP1,000兆円への道 ~「共生」政策が切り開く「自立」経済~
日本経済は中長期的に低成長にとどまる公算が大きい。構造改革が進まなければ、2040年の潜在成長率はゼロ近傍まで低下し、地域によってはマイナス成長に陥る恐れもある。財政の面でも、社会保障や防衛関連の負担が増大するもとで、政府債務残高は経済規模を超えるスピードで膨らむ可能性がある。
この背景には、国内外の構造変化がある。海外では、複数の国・地域が影響力を持つ多極体制へ移行し、モノ・ヒト・カネの国際移動の経路が変化している。その過程で、分業効率の低下や重複投資によるコスト増などが生じるほか、安全保障の面でも、米国が自国優先志向を強め、国際公共財の供給に慎重姿勢を示すなかで地政学的な緊張が高まり、各国は防衛力の強化と経済的自立の確保を迫られている。こうした環境変化は、世界経済の成長力を削ぐ可能性があるほか、拡大する財政負担や政策不確実性の高まりを通じて金利上昇圧力を強める。
国内では、労働力をはじめとする供給制約がコスト増を招くほか、企業の慎重な投資姿勢とあいまって産業競争力も低下し、貿易赤字や円安、物価上昇が定着する可能性がある。人工知能(AI)の普及はこうした課題をある程度緩和する潜在力を持つが、その活用が業務効率化にとどまると、成長力の底上げにつながらず、所得格差や地域格差を拡大させる恐れもある。
このような環境のもとで、わが国が単独で自立し、持続的な成長を実現することは容易でない。打開のカギは、国内外の人材・資本・技術を活用し、相互に付加価値を創出する戦略的な「共生」政策にある。それによって経済を補完し、国全体の成長力へと転換することができれば、年率1%台の成長を持続する余地は残り、2040年にGDPが1,000兆円規模に到達する展望も開ける。同時に、財政運営の健全性も確保されうる。
求められる構造改革の具体的な方針として、①技術との共生(AIなど先端技術の適切活用)、②世界との共生(国際競争力の向上と日本に適した形での外国人材の定着)、③世代との共生(全世代の労働参加と応能負担)、④地域との共生(多極集中と統合・再編)が挙げられる。
(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)

