リサーチ・フォーカス No.2026-059 アフォーダビリティが左右する米中間選挙 ― 選挙後も残る家計の不満と強まる政策対立リスク ― 2026年10月28日 森田一至、立石宗一郎2026 年11 月の米国中間選挙では、生活に不可欠な費用を無理なく支払えるかというアフォーダビリティが最大の争点となっている。関税や原油高による物価上昇が家計を圧迫しているほか、高金利と住宅価格の上昇が住宅取得を難しくしている。こうした生活費負担の不満がトランプ政権と共和党の逆風となっている。両党は中間選挙に向けて、家計負担の軽減を掲げているが、その政策の重点には違いがある。民主党は医療・住宅への公的支援や価格抑制策を通じて家計負担の直接的な軽減を目指す一方、共和党は減税や規制緩和による所得の増加や供給力の改善を重視している。中間選挙で民主党が下院または両院を制すれば、共和党による追加の大型歳出・減税法案は成立しにくくなる。一方、民主党の政策も大統領の拒否権などによって制約される。このため、選挙後も議会での立法を伴う政策の実現が容易ではなくなり、政策面からアフォーダビリティの大幅な改善は見込みにくい。家計の不満が解消されなければ、大胆な政策転換を訴える勢力への支持が強まる可能性がある。アフォーダビリティを巡る問題が長期化すれば、既存の政策運営への不信感が強まるためである。民主党で市場への介入を求める勢力が伸長し、共和党で減税や自国優先政策を重視する勢力が主導権を維持すれば、政策対立が一段と深まるおそれがある。将来的に、財源なき支援策や保護主義の強化につながれば、金利や物価の上昇を通じて家計の不満がさらに強まる悪循環に陥る可能性がある。加えて、政策対立の長期化は、政策運営の予見可能性を低下させるおそれがある。将来的に政権交代が生じた場合には、規制や補助金、税制、政府調達などが大きく変更される可能性が高まるためである。とりわけ、環境・エネルギー、AI、防衛など政策変更の影響を受けやすい産業では、両党間や党内のスタンスの違いから、政策を巡る不確実性が高まり、企業の長期的な投資判断を難しくするおそれがある。政治分断の深まりは米国の成長力を損なうリスクもはらむ。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)