リサーチ・フォーカス No.2026-052
【日本産業政策提言シリーズ②】産業政策と財政の持続可能性の両立 ― 持続的な支援に向けた政策手段の選択と組合せ ―
必要な投資を持続的に支えるには、産業支援の期間・内容と見直し条件に加え、官民の負担、将来必要となる予算を明らかにしていく必要がある。2027 年度予算の概算要求が出そろい、日本成長戦略の戦略17 分野をどう支えるかが、予算編成の課題となっている。政府は「強く豊かな日本」投資枠を設け、複数年度の計画に基づく支援で、民間投資と供給力の拡大を目指し、強力な産業政策を推進しようとしている。
政策手段は、投資を妨げる要因と事業段階に応じて選び、組み合わせるべきである。世界銀行は、政府の実施能力、市場規模、財政余地に応じて政策手段を選び、基礎的なインフラ整備などの公共投入を優先するとともに、成果に応じて支援を見直す規律を重視し、支援の撤退の重要性を示している。一方、マッツカートらは、政府調達の見直し、成功案件の利益還元、長期投資を支える制度を通じ、財政余地を確保する考え方を示す。日本でも、市場の失敗を是正する公共投入を優先しつつ、補助金だけでなく、出資・融資・保証、公共調達、規制・制度改革を使い分ける必要がある。民間資金と回収益を活用して、追加的な財政負担を抑えるべきである。
こうした支援のメリハリと財政余地の創出を具体化するには、政策効果と財政負担を併せて検証し、効果の乏しい支出の縮小・終了と、回収益も生かした必要な投資への再配分につなげるべきである。その際、政策効果と公的資金の回収は分けて評価すべきである。成長投資では生産性や付加価値、危機管理投資では供給途絶等による損失の回避を重視し、収益性だけで支援の要否を判断してはならない。同時に、成長・税収への寄与と、追加支出や利払いの増加を織り込んだ中長期の財政見通しを定期的に更新する必要がある。将来の税収増や投資回収を確実なものとして扱わず、個別事業の評価と政府全体の財政見通しを予算編成に反映すべきである。
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