リサーチ・フォーカス No.2026-040
AIによる経済安全保障分析の発展~LLMによる分析手法とその利用における考慮点~
2026年09月04日 野木森稔、垣渕 太成、金子 雄介
【経済分析でのLLMの活用可能性の拡大】
大規模言語モデル(LLM)の登場により、数値・統計に加えて、ニュースや企業開示情報といったテキスト情報を用いた分析の可能性が広がった。経済分析で扱えるデータの範囲が拡がっている。
【経済安全保障リスクへの対応とリアルタイム性】
経済安全保障分野が多様化・不透明化するなか、LLMは詳細な情報抽出と多面的な分析を支援し得る。企業等はリスク把握や意思決定の質を高められる可能性がある。
LLMを分析に用いることで、報道や企業開示など日々更新される文書を自動的に処理するため、公表までに時間を要する公式統計に比べて速報性に優れる。関税引き上げなど、急変する国際情勢や政策動向をタイムリーに追跡し、事業リスクを早期に察知し、迅速な対応に寄与し得る。
【分析運用における課題】
LLMは判断過程が把握しにくく、どのような誤差や偏りが生じるかを見通しにくい。経済分析への活用にあたっては、検証データを用いて出力の妥当性と誤差の性質を確認することが不可欠である。
主要経済論文、とくにLudwig et al.[2025]は、
①関連情報がモデルの訓練データに含まれることで生じる「先読みバイアス」
②推計上の誤分類による「測定誤差・統計的バイアス」
の2点を主要な問題として指摘している。
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