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リサーチ・フォーカス No.2026-038

【日本産業政策提言シリーズ①】経済安全保障政策の成長戦略化―強力な推進の可能性の一方、長期的な持続性には懸念―

2026年08月19日 野木森稔井上肇ジェイムズ・パターソン


2026 年の骨太方針・成長戦略では、経済安全保障が日本経済にとって重要な役割をもつことが明示された。予算編成過程の起点となる文書として定着している骨太方針では「「成長戦略」を大胆に推進し、経済安全保障を確保する」と記されている。政府は「責任ある積極財政」のもと、経済安全保障に重点をおいた成長戦略と予算措置を結び付け、経済安全保障政策の拡大路線を従来より強化したと言える。

経済安全保障政策の支援は「官民投資ロードマップ」で詳細が示されている。具体的には、戦略17分野の主要な製品・技術ごとに、必要な官民の投資の内容・規模とその経済波及効果、投資を実現するための政策パッケージがまとめられている。「AI・半導体」(官民の投資合計:102 兆円)や「デジタル・サイバーセキュリティ」(同:55兆円)は大規模な投資と経済波及効果が見込まれる主力分野と言える。詳細な項目では、「デュアルユース」、「GXケミカル」、「無人航空機」、「永久磁石」などが、経済安全保障上の自律性・不可欠性の強化と経済成長への寄与を同時に追求できる分野として期待される。

経済安全保障が骨太方針・成長戦略に取り込まれたことは、経済安全保障政策の強力な推進要因となろう。一方、経済安全保障を含め、日本の産業、製品、技術を支援するうえで、成長だけが目標となっていることには問題点が残る。経済安全保障を持続的で強固な政策として実行していくためには、成長よりも経済リスクを意識した目標を設定する必要があるなど、産業政策をより洗練し、改善していく必要があろう。


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