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医療のデジタル化におけるデジタルセラピューティクス(DTx)導入の推進に関する提言(2021年9月)

2021年09月10日 リサーチ・コンサルティング部門 ヘルスケア・事業創造グループ、山本健人小倉周人川崎真規


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<要点>

●今般の新型コロナウイルス感染症による公衆衛生危機を通じて、社会における医療のデジタル化の重要性が一層認識され、官民挙げて推進されている。そこで、我々は2021年1月に、デジタルセラピューティクス(デジタル治療)を担う治療用アプリケーション(治療用アプリ)の普及に向けた日本の政策的課題について提言資料を公開した。そして、関係者の方々と意見交換を進め、海外事例も踏まえた課題提示に対する期待の高さを理解した。

●日本では、厚生労働省が2020年11月に「プログラム医療機器実用化促進パッケージ戦略」を公表し、中央社会保険医療協議会の保険医療材料専門部会では治療用アプリ等の評価等の検討を予定している。これらの議論は、規制改革推進会議で河野太郎大臣が示した「この分野で日本が世界をリードするために」という高い志の下で進む見込みである。そこで、官民が共に情報を持ち寄り検討が進むことを期待し、本提言にて取り組むべき政策を提言する。

●諸外国の状況をみると、イギリスでは医療におけるデジタル分野の開発に関するガイダンス等の提示と更新を進めている。ドイツでは、治療用アプリは申請後3カ月以内に薬事承認・保険償還され、有効性のエビデンスが十分でないアプリは仮償還として収載し、1年後に再度保険償還に挑戦できる制度を施行している。そして、中国においては2020年11月に、中国初の治療用アプリが薬事承認され、国内の注目が集まっている。

●中でも、ドイツは健康増進だけでなく、開発促進や薬事承認・保険償還早期化の観点からも政策を進めており、他国でも政策の深掘りが進むと想定される。河野大臣が示した「医療におけるデジタル分野で世界をリードする」という志に対して、現在の政策だけを見ると諸外国が先行しており、世界をリードする状態にはなっていないと言わざるを得ない。

●そこで、当該分野で日本が世界をリードし、治療用アプリを必要とする患者により早期に届けられるようにすべく、以下3点について提言する。

①デジタルの世界的先導領域設定:超高齢社会の健康課題等世界をリードする領域にて、対応する治療用アプリ開発を強化

②デジタルに適した評価追求:デジタルとひとくくりにしない価格体系と価値に基づく価格改定

③デジタル分野の仮償還制度実装:一定のデータで仮承認を与え、その後のデータ補填により正式承認を与える制度の実装


<本提⾔の帰属>
本提⾔は、株式会社⽇本総合研究所リサーチ・コンサルティング部⾨ヘルスケア・事業創造グループが中⻑期的な観点から社会貢献をしたいとの考えに基づき、客観性・公正性・公平性に留意して意⾒を取りまとめ、提⽰するものである。

<本件に関するお問い合わせ>
マネジャー 山本 健人
E-mail: yamamoto.taketo@jri.co.jp


株式会社日本総合研究所 リサーチ・コンサルティング部門
山本健人小倉周人川崎真規
社内アドバイザー:南雲俊一郎
協賛:日本イーライリリー株式会社

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