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リサーチ・レポート No.2020-029

【アジア経済見通し】アジア景気は回復も、ペースにばらつき~ASEAN・インド経済復活のカギとなる供給網再編~

2020年11月30日 野木森稔関辰一熊谷章太郎


アジア各国・地域の景気は活動制限の緩和・解除、コロナ禍での特需などにより、回復局面入り。しかし、そのペースにはばらつき。特に、ベトナムを除くASEANとインドは苦しい展開。2020年はアジア経済全体で▲1.4%のマイナス成長に 2021年は比較的高い成長率が見込まれるものの、本年の落ち込みの反動に過ぎず、本格的な回復とはいえない状況。本年7~9月期時点で中国、台湾、ベトナムのGDPは既にコロナ前の水準を超えた一方、その他がコロナ前の水準に戻るの 2021年以降と二極化。

低迷するASEAN・インドで期待されるのが、サプライチェーン再編による企業の生産拠点移転。しかし、コロナ禍での①中国生産の巻き返し、②直接投資の先送り、③ 地域経済の低迷や社会の混乱、などがサプライチェーン再編に大きな逆風。そうしたなかでも、ASEAN・インド各国では、ビジネス誘致のための魅力を上げる政策、自由貿易協定の推進などに注力。加えて、米国の対中強硬姿勢に変化なしと予想され、日韓台政府はASEAN・インドにおける自国企業の事業拡大をサポートする意向。中国からの生産移転先がベトナム以外に広がるか否かは2021年のアジア経済を見るうえで大きな注目点。

中国:①政府による早期の経済活動再開、②積極的な景気対策、③外需の持ち直し、を背景に、景気は日米欧に先駆けて回復。けん引役は投資から消費に広がりつつ、今後も景気回復が持続。新たな経済発展モデル「双循環」の下で、政府によるハイテク分野への手厚い支援が続く見込み。2021年は前年からの反動を主因に+8.2%と高成長を予想。年ベースの成長率は大きく上下するものの、四半期ベースの成長率は、景気刺激策を通じた政策誘導もあり、潜在成長ペース(5%程度)近辺に回帰する見通し。

インド:段階的な経済活動再開に伴い景気は底打ちしたものの、「封じ込めゾーン」に指定された地域での活動制限や州政府による独自のロックダウンが残り、全体の回復ペースは緩慢。足元ではスタグフレーションに対する懸念も。2021年度は本年度の反動で+11.0%と高い成長を見込むものの、様々な下振れリスクが残存。先行き、持続的な高成長路線に復帰できるかは、土地収用円滑化、解雇規制緩和、国営銀の行経営効率化といった、これまで停滞していた改革の成否がカギ。


【アジア経済見通し】アジア景気は回復も、ペースにばらつき~ASEAN・インド経済復活のカギとなる供給網再編~(PDF:1,240KB)
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