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「ポストコロナのローカルDX戦略~時空を超える公共サービスの可能性~」の連載にあたり

2020年06月04日 ローカルDXタスクフォース リーダー 井上岳一


 新型コロナウイルスの感染拡大を受けての緊急事態宣言の発令により、私達はほぼ2カ月にわたる外出自粛生活を経験した。客が消えた町では事業者が悲鳴を上げ、突然の休校で親達も慌てふためいたが、巣ごもり生活の常態化は暮しや労働のあり方を見つめ直す良い契機ともなった。
 大きかったのは、テレワークやオンラインでのやり取りが日常化したことである。今後は遠隔で済むものは遠隔でとなるから、リアルな場や直接のやり取りの価値が問われるようになる。なぜわざわざそこに行かないといけないのか、なぜ対面でなくてはいけなくて、遠隔やオンラインではダメなのかが問われるようになるのである。人に何かを提供する側は、デジタル化し、遠隔・オンライン対応を進めていかないと、顧客や働き手を他に奪われる可能性がある。相手に必要とされ続けるためにも、デジタル化が必要な時代になるのである。
 自粛期間中に痛感したのは、自治体のデジタル化の遅れである。自治体職員の多くがテレワーク環境になく、公共施設には休館する以外の選択肢がなかった。施設がない限り仕事ができずサービスを提供できない今の自治体のあり方は、明らかに時代の求めるものとズレてきている。それは住民の不満だけでなく、災害等で施設が機能しなくなったらどうなるのかという不安にもつながる。
 働き方が変われば住む場所も変わる。テレワークが当たり前になれば地代が高く過密な都市に住む必要はない。どこに住むかを選ぶ時に決め手になるのは、その地域(Localhood)がどれだけデジタル化に対応しているかである。すなわち、ローカルDX(デジタルトランスフォーメーション)の度合いが住み心地を決める時代になる。ローカルDXのベースとなるのは公共サービスのDXである。公共サービスがDX化され、施設の制約を超えて提供できるようになれば、地域や国のあり方は大きく変わる。Society5.0は、足元のDX(ローカルDX)から始まるのである。
 コロナ以前から、ローカルDXのあり方について検討を重ねてきた私達は、今回の自粛生活の経験が、ローカルDXを進める上での大きなモメンタムになると考えた。そこで、まだ生煮えのものもあるが、私達が検討してきた内容を叩き台として、世に問うこととした。施設の制約を超えるということは、公共サービスが時空を超えるということである。時空を超えた公共サービスがどのように地域を変え、国を変えるのか。その可能性について本連載では考えていきたい。
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