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ケアマネジメントにおける自助(保険外サービス)の活用・促進に関する調査研究事業

2018年04月10日 齊木大辻本まりえ沢村香苗


*本事業は、平成29年度老人保健事業推進費等補助金 老人保健健康増進等事業として実施したものです。

事業の目的
 要介護高齢者等の増加に伴い、生活全般の課題は多様化しており、それらの課題は必ずしも介護保険サービスだけで解決できるものばかりではないため、多様な解決策の提示が求められている。
 このような状況の下、ケアマネジャーはこれまで以上に自助(保険外サービス)を活用したケアマネジメントの実行が不可欠となっている。
 本調査研究事業では、保険外サービスを活用することで要介護高齢者および高齢者家族のQOL向上を図るケアマネジメントを目指し、ケアマネジメントにおける保険外サービスの活用の実態と課題を把握し、ケアマネジャー向けに留意点や工夫を整理して分かりやすく発信することを目的とした。

事業概要
1.保険外サービス活用のマネジメント事例の収集・研究
 ケアマネジャーによる保険外サービス活用のマネジメント事例を収集するため、保険外サービスの活用実態調査を以下の通り実施した。

・調査名称:「保険外サービスの活用実態調査」
・調査期間:平成29年12月18日~12月22日
・調査方法:インターネットアンケート調査
・対象:ケアマネジャー(現任の方)
・調査件数:924件(現任者数ベース)(※うち事例調査の回答は411件)

2.アセスメントや説明でおさえるべき項目の整理
 「保険外サービスの活用実態調査」の結果を踏まえて、ケアマネジャーが保険外サービスを活用する上での課題や、保険外サービスを活用することの効果について、ケアマネジメントプロセスに沿って整理した。
 その上で、保険外サービスを活用するにあたって注意すべきポイントを明らかにするために、保険外サービスを活用することに関するケアマネジャーの意識調査を以下の通り実施した。

・調査名称:「保険外サービスの活用に関するケアマネジャーの意識調査」
・調査期間:平成年3月5日~3月14日
・調査方法:インターネットアンケート調査
・対象:ケアマネジャー(現任の方)
・調査件数:1,009件(現任者数ベース)

3.ケアマネジャー向け・ケアマネジメントにおけるQOLの向上に向けた保険外サービス取り扱いのポイントのとりまとめ
 上記調査結果および検討結果に基づき、保険外サービスを活用する際に持つべき基本的な考え方および保険外サービスの活用に際して注意するべきポイント等をケアマネジメントプロセスに沿って取りまとめ、ケアマネジャーに知ってもらうための普及啓発ツールとして作成した。

4.ワーキング・グループの運営
 本調査研究事業の検討にあたり、学識経験者(保険外サービスの活用に明るい者)、ケアマネジャー(保険外サービスの活用の実践経験がある者)、保険外サービスのコーディネーター、厚生労働省内の関係課等で構成するワーキング・グループを全4回開催し検討を行った。

事業結果
 実態調査の結果より、何らかの保険外サービスを取り扱った経験のあるケアマネジャーは全体の7割を超えるが、生活支援の領域以外の保険外サービスを活用した経験のあるケアマネジャーは全体の35%に留まる。生活支援から遠い領域も含めて多様な保険外サービスを活用したことのあるケアマネジャーの方が、在宅生活の継続、意向や嗜好・個性に合わせたサービス提供、家族介護者の負担の軽減といった保険外サービスの効果を捉えている。
 一方、保険外サービスの活用に係る課題としては、事業者が少ない、サービス・事業者に関する情報が少ない、価格や品質の妥当性を判断しにくい、利用者の家計に関する情報を把握しにくい、保険外サービスを紹介した後の結果の情報を得にくいといった課題が、保険外サービスの利用経験の豊富さにかかわらず挙げられた。

 本調査研究事業では、調査結果およびワーキング・グループでの検討を踏まえ、ケアマネジメントにおいて保険外サービスを活用する際のポイント(留意点や工夫等)を、ケアマネジメントプロセスに沿って取りまとめた。
 保険外サービスの活用においては、利用者側のアセスメントを行った後、利用者や家族のニーズに合ったサービスを事業者が提供しているかどうかを確認するための事業者側のアセスメントも必要である。その上で、利用者や家族が検討しやすいよう、保険外サービスや事業者に関する情報を分かりやすく編集して伝えることが求められる。これらの点は実態調査からケアマネジャーの多くが課題として挙げていることも踏まえ、工夫や留意点をポイントとして整理した。
 また、ケアマネジャーとしての関わり方に関して、家計や資産の状況を捉えるとともに利用者や家族のお金の使い方に対する価値観を捉えること、契約における意思決定支援の必要性をアセスメントして必要に応じて意思決定支援のための仕組みや制度につなぐこと、消費者トラブルへの対応にも配慮することといった観点も重要であることも整理した。

 今回取りまとめたポイントは、あくまで現時点版であり、今後、保険外サービスがより活用されていくことで留意すべき点や工夫すべき点が新たに明らかになる可能性も見込まれる。

 なお、ケアマネジャーが保険外サービスを取り扱う実務を支援する観点に立てば、今後、以下の3点について具体的な方法の検討が必要と考えられる。

1.保険外サービスの事業者やサービス内容に関する情報提供
 幅の広い保険外サービスの事業者やサービス内容について、ケアマネジャーが入手しやすく分かりやすいように情報提供が必要である。また、利用者への情報提供を支援する観点から、そのサービスの質の判断に足る情報提供も必要である。

2.ケアマネジャーと保険外サービス事業者との間の情報共有
 保険外サービスの利用に伴う利用者や家族の状況の変化について、ケアマネジャーと保険外サービス事業者との間で円滑に共有する方法の検討が必要である。具体的にはモニタリングのタイミング、共有すべき情報の内容やツールの検討等が考えられる。

3.利用者や家族による意思決定支援のあり方
 保険外サービスの利用を判断し、決定するのは利用者や家族であり、ケアマネジャーは契約には基本的に関わらない。一方、認知症など意思決定の支援が必要な利用者やその家族が増えることも見込まれる。特に、成年後見制度の対象にはならないが意思決定の支援が必要となる高齢者に対し、どのような支援の仕組みを構築していくかは、保険外サービスの活用を進めていく上で重要な課題であり、継続的な検討が求められる。

※詳細につきましては、下記の報告書本文をご参照ください。
ケアマネジメントにおける自助(保険外サービス)の活用・促進に関する調査研究事業 報告書(PDF:3540KB)

ケアマネジメントにおけるQOLの向上に向けた保険外サービス取り扱いのポイント(PDF:743KB)


本件に関するお問い合わせ
創発戦略センター シニアスペシャリスト 齊木 大
TEL: 03-6833-5204   E-mail: saiki.dai@jri.co.jp
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