リサーチ・アイ No.2024-117 高校授業料無償化は今後2年の物価を▲0.2%下押し ― 財源を棚上げした政策論議は金利上昇の懸念も ― 2025年03月10日 藤本一輝、後藤俊平2025年度予算案が衆議院で可決。自民・公明両党は、国民民主党が掲げる所得減税を一部取り入れるなど、複数の野党と交渉。2025年度からの高校授業料の無償化が決め手となり、日本維新の会と合意。政府の当初予算案は29年ぶりに国会審議で修正されたものの、政府は引き続き年度内の予算成立を目指す構え。授業料無償化は教育費負担の軽減を通じて教育の機会均等に資するほか、物価の押し下げにも作用。昨年4月に東京都で先行して高校授業料が無償化された際には、同月の東京都区部コアCPI(生鮮食品を除く総合)を前年比▲0.5%ポイント下押し。同ケースを参考に今回の政策が全国のコアCPIに与える効果を試算すると、2025年度に▲0.24%ポイント、2026年度に▲0.19%ポイントの下押しとなる見込み。これにより実質賃金の伸びは一定程度上押しされるものの、同政策による負担軽減効果は高校生の子どもを持つ世帯に限定。授業料無償化の財源は予備費からねん出され、恒久財源は確保されず。先行きの予算・法案審議において野党からの歳出拡大要求が高まれば、市場で財政リスクが意識されやすくなる可能性も。長期金利が上昇しているだけに、財源論を伴う政策論議が必要。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)