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リサーチ・アイ No.2024-115

トランプ関税により強まるグローバルな景気後退リスク ― すべての関税引き上げで米インフレ率+1.5%上振れ、世界成長率▲0.7%下振れ ―

2025年03月05日 立石宗一郎野木森稔


米国による関税引き上げの対象が拡大。米政府は違法薬物流入を理由に中国への追加関税を2月に発動したほか、3月にはメキシコ、カナダに25%の関税を課すことを決定。さらに、EUにも同様の措置を示唆。関税対象は個別品目にも広がっており、鉄鋼、アルミニウムの関税引き上げが実施されたほか、自動車、半導体、医薬品の引き上げも検討。ほかにも、相互関税やデジタル課税への報復関税なども打ち出されており、問題は複雑化。

仮に、現在公表されている関税引き上げがすべて実施された場合(相互関税・デジタル関税は除く)、米国の景気は大きく悪化する見通し。試算によれば、輸入財の価格が上昇することで米国のインフレ率は+1.5%ポイント上振れ。物価上昇により利上げが実施され、長期金利は+0.9%上昇。物価や金利の上昇で経済成長率は▲0.5%ポイント低下。

さらに、グローバルな景気後退を招来。すべての関税引き上げが実施される場合、対米輸出の減少などを通じて、世界全体の成長率は▲0.7%ポイント下振れ。3%前半と見込まれる今年の世界成長率が2%台に落ち込む計算。国・地域別では、メキシコ、カナダの成長率が大幅に低下するほか、EUへの影響も大。米国向け自動車輸出が大きい韓国などでも下押し圧力が強まる見通し。

関税が実際に引き上げられるかどうかは米国と各国の交渉次第。もっとも、関税引き上げの有無にかかわらず、先行きの不確実性が高まっていること自体が、設備投資の延期などを通じて景気下押しに作用する可能性大。


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