リサーチ・フォーカス No.2024-061 アジア新興国自動車市場の短期・長期展望 ―主要市場インド・インドネシアで「自動車普及の天井」の懸念― 2025年01月15日 細井友洋、森田一至アジア新興国、とくにインドとインドネシアにおいて、自動車販売の伸びが鈍化している。人口大国である両国の自動車市場は日本にとって重要性が高く、その動向への注目度は高い。短期的な要因としては、金利の高止まりによる需要抑制効果が両国で顕在化してきたことがあげられる。一方、両国では、自動車普及率が急速に高まる所得水準に差し掛かっており、中長期的にみれば自動車市場には大きな成長余地がある。ただし、両国には、自動車の販売が軟調であるのに対し、自動二輪車の販売は好調という共通点がある。これは、①高い人口密度、②急速なEVシフト政策が市場拡大の制約となる「自動車普及の天井」に直面しつつある可能性がある。両国において自動車市場を一段と拡大するためには、こうした制約要因を緩和するための政策的対応が進められる必要があり、日本も重要市場の開拓に向けて、それに積極的に関わっていくことが期待される。高い人口密度の弊害緩和に向けては、道路インフラの整備や公共交通の充実化による渋滞の緩和、立体駐車場の整備を通じた駐車スペースの確保などに取り組むことが有効であり、日本はそうしたインフラ整備を支援していくことができよう。また、火力発電の高効率化・低炭素化といったエネルギー分野や、HVの自動車製造分野に強みをもつ日本企業は多いことから、EVシフトを目指す両国の政策方針に日本が技術面で貢献していくことも可能だろう。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)