リサーチ・アイ No.2024-085 中国国債利回り急低下、高まる中銀介入の可能性 ― 超低金利が高める為替リスク、当局介入で一転金利上昇も ― 2024年12月25日 野木森稔、呉子婧中国の長期国債利回りが急速に低下。12月に入り、10 年物国債利回りは2%を割り込み、過去最低を記録。不動産市場低迷などにより景気がさらに悪化するとの懸念や、貸出を抑制する銀行が余剰資金を安全資産である国債投資に振り向けていることが背景。さらに、中国政府が中央経済工作会議にて金融政策スタンスを14年ぶりに「適度に緩和的」に変更したことも国債利回りの低下に影響。7月以降、政策金利が「7日物リバースレポ」に一本化されたことで、金融政策は従来の銀行貸出に直接働きかける手法から市場金利の短期から長期への波及メカニズムをより重視する手法に転換。これにより、金融政策が長期金利に与える影響が増大。中国人民銀行は、国債利回りの急激な動きを警戒。過去、政策金利との連動性が低かった長期国債利回りが突然連動性を高めたことで、米国との長期金利差は急激に拡大し、為替急落リスクも高まる状況。12月13日、中国人民銀行が一部銀行の債券投資について調査を開始したとの報道も。先行き、7月から導入された国債市場での公開市場操作によって低金利是正に向けた国債売り介入を実施する可能性も排除できず。昨年以降、他国の国債よりも速いペースで価格が上昇したことに乗じて、日本を含む海外の投資家による中国国債への投資も急増。突然の介入で、国債価格が急落に転じるといった事態が生じれば、中国国債市場の混乱の影響は国内外に及ぶ可能性あり。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)