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リサーチ・フォーカス No.2024-041

米景気、ハリスで軟着陸、トランプで不安定化 ―両候補とも財政悪化リスク、長期金利の大幅上昇も―

2024年10月24日 立石宗一郎松田健太郎西岡慎一


米国景気の動きは米大統領選挙の結果次第で大きく異なりうる。民主党ハリス候補は再分配政策を通じた格差是正に重きを置く一方、共和党トランプ候補は減税や関税の活用で内需振興を目論む。なかでもトランプ候補の公約は大胆な内容が含まれており、経済へのインパクトは大きい。

仮に、ハリス候補が当選する場合、米国の実質GDP成長率は2%前後で推移し、経済は軟着陸を果たすと見込む。家計支援策が個人消費を押し上げる一方、富裕層や大企業などへの増税が景気を押し下げ、全体としてみれば景気は安定する見込みである。ただし、「ねじれ議会」となる場合、共和党の反対などで増税が実現せず、景気の過熱を通じてインフレが進む可能性もある。

仮に、トランプ候補が当選する場合、インフレ圧力が高まるとともに、米国景気は大きく振れる可能性がある。対中関税の引き上げと大規模な減税がともに実行される場合、成長率は2025 年に1%台に減速した後、2026 年に2%台半ばへ高まると予想する。これは大統領権限で実行できる対中関税の景気下押し効果が、減税による上押し効果よりも早いタイミングで発現するためである。この間、インフレ率は2026 年にかけて3%近くに高止まりすると予想する。世界一律に関税を課す「ユニバーサル・ベースライン関税」は実現が難しいとみられ、標準シナリオに織り込んでいないが、仮に実施されれば、成長率は▲1%ポイント以上押し下げられ、明確な景気後退に陥るリスクがある。

両候補ともに、財政収支が悪化する可能性が高い。とくにトランプ政権下では、財政赤字額がGDP比で8.4%と平時としては近年になく高い水準となる。米長期金利は上昇し、為替レートは150 円付近の円安が続く見通しである。ハリス政権下でも「ねじれ議会」となる場合、財政赤字が膨らむ展開に注意が必要である。


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