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ゼロ知識証明の現在地 ~ブロックチェーンを超えた活用可能性~

2024年08月06日 先端技術ラボ 渡邊大喜


直近10年において、ブロックチェーン領域での実用を起点とした「ゼロ知識証明(Zero-Knowledge Proof、ZKP)」と呼ばれる技術の発展が著しい。

ゼロ知識証明とは、「特定の情報を知っていること」を、何ら具体的な事実を明らかにせず(このことを「ゼロ知識」と呼ぶ)他者に数学的に証明することができる技術である。
ゼロ知識証明が考案された当初は、デジタル署名やユーザ認証などの特定の用途にしか用いられてこなかったが、
近年の技術発達により、様々な事柄をより効率的に証明できる、汎用型のゼロ知識証明(General-purpose Zero-Knowledge Proof、 汎用ZKP)が注目を集めている。

汎用ZKPは、ブロックチェーン領域では主に取引内容の秘匿化や取引データの圧縮の用途で実用化されている技術であるが、ブロックチェーンのみならず幅広いアプリケーションに応用可能であり、プライバシー強化技術(※)の一つとして活用していく動きがある。

本レポートでは、ゼロ知識証明技術の概要と動向について整理し、ブロックチェーン領域以外での活用可能性について見解を示した。特に、金融領域への活用が見込めるユースケースとして、「デジタルアイデンティティの検証」「プライバシーとコンプライアンスの両立」「計算のアウトソーシング」がある。

今後の見通しとして、技術面では、zkVM(ゼロ知識仮想マシン)などによるZKP技術の汎用化や業界団体による標準化が進み、暗号学に精通していない一般のエンジニアでも容易に扱えるようになると予測する。一方で、普及のためには、他のプライバシー強化技術と同様に、情報管理のあり方の変化やプライバシー意識の向上のなど、社会的土壌も必要である。企業ニーズとしては、ESG経営の観点でもサイバーセキュリティへの注力は高まっており、他のプライバシー強化技術と同様に、社会受容性の高いユースケースから活用の進展が見込まれる。

(※)プライバシー保護規制の基となるプライバシー原則を実現・強化する技術。詳細は別レポート「プライバシー強化技術の概説と動向」参照


<本レポートのハイライト動画>




ゼロ知識証明の現在地 ~ブロックチェーンを超えた活用可能性~


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