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リサーチ・フォーカス No.2024-022

トランプ政策、わが国資本財セクターに打撃 ― 国際競争力の低下に拍車も ―

2024年07月26日 西岡慎一後藤俊平


トランプ候補が米国大統領に就任した場合、世界経済は混乱を来たす可能性がある。同氏が掲げる関税引き上げ、移民排斥、減税といった政策が実行される場合、米国ではインフレが高進するほか、世界経済が一段と分断される恐れがある。

こうした悪影響はわが国の製造業にも波及し、なかでも産業機械や輸送機械など設備機械を生産する資本財セクターへの打撃が大きいと考えられる。その背景として以下の3点が挙げられる。

第1に、政策を巡る不確実性である。トランプ政権下では政策の予見可能性が低く、世界的に設備投資が停滞する可能性がある。これがわが国資本財の減産につながると見込まれる。わが国では、製造業に占める資本財のウェイトが大きく、トランプ政策を巡る不確実性の拡大による鉱工業生産の落ち込みは世界最大の部類に入る。

第2に、関税引き上げである。トランプ候補が掲げる関税政策が実現する場合、中国と米国の経済がともに大きく落ち込む見通しである。わが国の資本財セクターは米中両国への依存度が全産業のなかで最も大きく、米中の不振が波及しやすい。

第3に、為替変動である。トランプ候補が掲げる大規模減税で財政収支が悪化するほか、中央銀行への政治介入などでドルの信認が低下する場合、円高が進行する可能性がある。資本財セクターは円高進行による減益幅が最も大きい産業である。

資本財セクターはわが国の基幹産業であり、株式市場でのプレゼンスも大きいが、近年は、国際競争力が低下傾向にある。トランプ政策による悪影響を緩和するためにも、関連企業においては、米中以外の国・地域での事業展開を積極化するなど、リスク分散を適切に図ることが重要である。


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