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ブレインテック最新動向2024

2024年02月08日 先端技術ラボ 西下慧


本レポートは、ブレインテックの最新動向と活用について考察し、展望を記載した。

ブレインテックは、脳(Brain)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語。脳科学や工学の知見・技術を融合して開発されたシステムや製品・サービスを指す。
ブレインテックの動向として、米Neuralinkによる人を対象とした臨床試験の募集開始、米Synchronによる人の脳内に留置したデバイスの長期使用に関する安全性の報告など、医療向けの実用化は着実に進んでいる。ブレイン・マシン・インターフェース(*1)を使った運動・会話補助は、身体が不自由な人の社会進出を促し、DE&I(*2)への貢献も期待される。非医療向けは、主にヘルスケアやエンターテイメント、教育、マーケティング分野で実用化・実証実験が行われているが、ヘルスケアやエンターテイメント以外に有効な用途は、確立されていない。
また、AI技術の進展に伴い、脳活動データの解析技術が進んでいる。例えば、低次元のデータから高次元のデータを推定する、ノイズや欠損をより高精度に補正するアルゴリズムなどがある。解析技術の進展によりブレインテックの活用領域の拡大や実用化が、早まる可能性がある。
ルール整備や技術標準化は、ブレイン・マシン・インターフェースの技術標準化(ISO/IEC JTC1/SC43)、ユネスコ会議でブレインテックのルール整備に関する議論が行われるなど、国際的な取り組みが開始されているが、取り組みが始まって間もないため、整備には長期を要する。
その他前版「ブレインテック最新動向2022」(2022/04/15発行)からの主な変更点・追加情報として、以下2点を挙げる。1点目は、2013年から始まった欧州の脳科学プロジェクト「Human Brain Project」が、2023年9月に終了。Human Brain Projectは、10年間で6億7000万ユーロ投資され、約500名の科学者が参加した欧州の巨大プロジェクトであり、てんかんやパーキンソン病の治療法を改善するため、脳のデジタルツインを開発し、臨床試験を実施した。
2点目は、2023年に米Appleが脳波計測可能なイヤホンに関する特許を取得。今後Appleが、脳波を活用したアプリケーションを提供すると予想され、ブレインテックにおけるキラーコンテンツになり、ブレインテックが世の中に浸透する可能性がある。
ブレインテックは、医療関係者以外も注目すべき技術の一つであると考える。

本レポートが、ブレインテックの動向把握、各企業における技術検証・ビジネス活用検討の一助となることを期待する。

(*1)脳活動から推定した情報(運動意図・状態など)に合わせた行動支援・機器制御を行う技術。
(*2)Diversity, Equity & Inclusionの略。従来の「D&I(Diversity & Inclusion)」に「公平性(Equity)」を足した概念。

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