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Web3.0トレンドを俯瞰する ~ブロックチェーン技術が実現する次世代のインターネット~

2022年08月15日 先端技術ラボ 會田拓海


本レポートでは、次世代インターネットと称されるWeb3.0と、それに関連する概念や現在みられるユースケースを整理し、将来展望を考察した。

Web3.0とは、ブロックチェーン技術を基盤とした分散型ウェブである。その特徴の一つに、データの所有・管理権限が企業・組織からユーザーへ移譲されることが挙げられる。ブロックチェーンは多数の運営者が保有するノード(*1)によって維持されているため、特定の運営者によるデータの独占的利用を防ぐことができる。また、ユーザーが保有する秘密鍵を用いてデータを保存したり所有者を移転したりすることで、ユーザー自身がデータの利用方法を制御できるため、Web3.0の基盤として活用される。

Web3.0では、インターネット上におけるユーザーの経済活動によってトークンエコノミーが形成されると考えられる。ブロックチェーン上で発行される暗号資産やトークンを用いて金融取引が行われるだけでなく、NFTなどで表現されるデータの価値取引も行われる。また、スマートコントラクト機能やトークン発行・管理機能を活用し、特定の管理者が不在でも自律的に運営されるDAO(分散型自律組織)を構築できる。DAOは、多数のユーザーがトークンを用いた投票によって決めたルールをプログラムとして実装し、スマートコントラクトを用いて組織運営を統括するという特徴を有する。トークンを保有すれば誰でも運営に参加でき、意思表示から組織運営までのすべてをシステムによって実現できる。意思決定プロセスが明確であり、人の代わりにシステムが組織の運営者としての役割を果たし得ることから、従来の企業や社会の構造変容に影響を与える可能性がある。ブロックチェーンが抱えてきた処理能力の低さは技術進展によって一部改善されつつあり、異なるブロックチェーンを相互に運用することで取引の自由度やトークンの流動性を高める動きもみられる。

ブロックチェーンを活用したWeb3.0の黎明期におけるユースケースには、コンテンツ提供者やサービス利用者にトークンを用いて収益を還元するサービスなどがみられる。

Web3.0の利用拡大に向けた課題として、国内ではトークンを用いた資金調達や税処理、DAO運営などに関し、既存の制度が未対応であることが挙げられる。また、ユーザー自身が秘密鍵を扱う方法とそのリスクを認知する必要もある。ブロックチェーンの一層の性能改善だけでなく、事業展開に関わる法律や税制度の改正、消費者保護の観点から健全な市場形成のための利用環境整備が求められる。

ブロックチェーンに関連したサービスすべてが真にWeb3.0に求められている特徴を有するとは限らない。今後Web3.0の活用を考える上で、技術への理解とWeb3.0を掲げるサービスの実態を把握することが肝要である。

(*1)ブロックチェーンネットワークを構成するコンピューター。

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