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リサーチ・レポート No.2023-005

【欧州経済見通し】景気減速が続く欧州経済~時間を要するインフレ沈静化~

2023年06月28日 後藤俊平藤本一輝松田健太郎


先行きのユーロ圏景気は、減速が続く見通し。足元では部材や資源の供給制約が緩和した一方、労働需給のひっ迫からコア物価が高止まり。本年後半には、実質所得の持ち直しを受けて個人消費の持ち直しが見込まれるものの、金融引き締めの継続が景気を下押し。成長率は2024年にかけてゼロ%台にとどまると予想。

ECBは、高インフレ定着への懸念から、当面は利上げを続ける見込み。秋頃には、物価の上振れリスクを警戒しつつも、政策金利を据え置き、様子見姿勢に転じると予想。

英国景気は、減速が続く見通し。根強い労働力不足を背景に、賃金上昇が物価に波及し、高インフレが長期化。家計の購買力低下や金融引き締めの継続が景気を下押し。

BOEは、少なくとも年内利上げを続ける見込み。賃金の高騰を背景にサービス価格の上昇に歯止めがかからず、景気支援のための金融緩和転換は見通せない状況。

当面のリスクは、厳冬などによる天然ガス需給のひっ迫や、ノンバンク発の金融システム不安の再燃。中長期的には、西側諸国で進む脱中国依存の動きが欧州の貿易を抑制する恐れも。


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