リサーチ・レポート No.2022-005
【欧州経済見通し】問題山積のなか回復を続ける欧州経済 ~最大のリスクはエネルギー不足~
2022年07月05日 井上肇、栂野裕貴、後藤俊平
欧州では、ウクライナ戦争が経済を下押し。貿易取引の縮小が景気の重石となっているほか、資源高・食糧高を主因にインフレが加速。
もっとも、ユーロ圏経済の回復基調は崩れない見通し。高インフレが続くなかでも、①活動制限の緩和、②家計の過剰貯蓄、③良好な雇用・所得環境、④財政支援策などが個人消費を下支え。生産能力の増強や脱炭素に向けた企業の設備投資、インバウンド需要の回復も景気を押し上げ。
ECBは高インフレの定着を回避するため、大幅な金融緩和状態から景気に対する中立水準まで利上げを進める見込み。同時に、南欧諸国の金利の急上昇といった金融市場の分断化を防ぐ手段も講じられる見込み。
一方、英国では景気減速が続く見通し。賃金高騰や輸入インフレにより物価高が長引くことや、BOEによる積極的な金融引き締めが背景。
リスクは、エネルギー不足による景気後退。また、イタリアやスペインでポピュリスト政権が誕生する可能性があるなど、政治面にも不安材料。
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