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SRI(社会的責任投資)株価、企業価値を見極める投資指標

出典:株式市場新聞 2003年1月30日

●企業不祥事をきっかけに社会的責任投資(SRI= ソーシャリー・レスポンシブル・インベストメント)が脚光を浴びつつある。日本総研総括戦略センターの足達英一郎主任研究員は、「本来『CSR(コーポレート・レスポンシビリティ)が企業の利益の源泉になる』との考え方が存在。CSRと企業業績の相関関係が指摘されるようになり、資本市場にも1つの潮流が生じ、それがSRIの普及につながった」という。欧米では投資指標として定番となっており、日本でも株価、企業価値を判断するうえで欠かせないツールになりつつある。詳細を聞いた。

-社会的責任投資(SRI)の現状は。
「欧米で始まった投資運用スタイル(論理的投資)は、強烈な価値観の反映として、べトナム反戦運動やアパルトヘイト反対運動にも応用された。これまで、宗教団体や学校など、明確な価値判断を持った特別な組織の投資行動との印象を強めていたが、最近ではCSR」が経済合理性の理論のなかに融合し、企業価値を形成するうえで、大きな要素を占めつつある」
 
-具体的には。
「企業不祥事をきっかけに日本でも注目を浴び、法令尊守をしなかったり、あるいは法令尊守をしたとしても特定のグループから強烈な批判を受けるなどの行動を取れば、企業の存続を脅かし、株価の価値をゼロにする影響力も強めている。いわば社会的な問題から派生して企業価値の差がつくようになる時代を迎えたといえる」
 
-企業の意識は高まっているか。
「人的資源の確保や企業の成長力には欠かせない要素だが、東証上場一部上場1500社の中で、情報開示に向けて巡視している企業が約100社、うち本格的な導入を試みる企業はまだ30前後に過ぎない。そのほとんどはグローバル企業で、消費者、従業員、投資家からプレッシャーを敏感に感じている企業が中心となっている」
 
-普及に向けての課題は。
「日本の場合、構造改革の真っ只中にあり、リストラを容認しながらの導入に矛盾も生じる。このため導入に及び腰となる企業は多い。ただ、企業の株価対策の重要な柱で、同時にIR(投資家広報)活動にも重要な要素のため。今後、自社のブランド向上のために不可欠な要素となろう。もちろん企業のみならず、年金運用を主体にする機関投資家、アナリストや個人投資家などが三位一体となった行動投資のほか、税制優遇措置なども欠かせない」

-欧米の基準では馴染まないようだが。
「海外の投資家から各企業に送られてくるアンケートやヒアリングに対応することも必要だが、日本の風土に馴染むものかどうかの取捨選択が重要。今後自主的開示のレポートを作成し、海外のアナリストに対して理解を深めていかねばらならない」 -個人投資家は、SRIをどう生かせば良いか。 「21世紀の企業はどう変わり、どういう企業が伸びていくか。その見極めのモノサシとして利用したい。そうする際には投資家対象企業を少し長い目で見ることが重要。本来、株式投資は長期投資が本流で、そのことを再認識するツールになればと思う」  

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