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変化する日本の規制環境下で再考するブロックチェーン技術と金融システム

2026年03月05日 市原 紘平


本レポートでは、2026年の変化する日本の暗号資産規制も意識し、ブロックチェーン技術と金融システムについて今一度考察する。

【サマリ】
●広義のDeFiと狭義のDeFi
分散型金融(DeFi)について、伝統的金融機関等とブロックチェーンエンジニア等の専門家との間では、認識する内容に差異がある。
後者は、パブリックブロックチェーンに保存されたプログラム(=スマートコントラクト)で実行される金融的機能を指す。(狭義のDeFi)
一方、執筆時点(2026年3月)では、金融業界などでは上記の内容(狭義のDeFi)まではあまり意識されておらず、暗号資産そのものや、既存の金融商品のトークン化(アセットトークナイゼーション)の領域を主としてDeFiが認識されている。

●アセットトークナイゼーションにより加速する金融業務の標準化と効率化
アセットトークナイゼーションは、共通基盤(≒統合台帳)に様々な金融商品を載せるという点に新規性があり、以下のような技術的進展が見込まれている。
金融機能のモジュール化:
伝統的金融機関が重厚長大なシステムで一枚岩的に提供してきたサービス全体が、モジュール(小機能単位)に分解される。
金融機能の標準化:
同レイヤーのモジュール同士が競争や共通化を進めることでモジュールの機能が最適化・標準化される。また、レイヤー間の連携方式についても標準化が進む。標準化技術の多くはしばしばオープン化され、新規プレーヤーの参入に繋がる。

●アセットトークナイゼーションへ取り組む伝統的金融業界へ向け
アセットトークナイゼーションの本質は金融機能のモジュール化・標準化であり、一過性の流行としてではなく、バックエンドを含めた業務の最適化・効率化の観点も持って取り組むことが肝要ではないか。
金融機能のモジュール化・標準化こそが本質であると捉えた時、「ブロックチェーン上にトークンという形式で情報を記録する」という構成が最適ではない要件も発生し得ると考えられる。
既に相当に効率的な金融システムを国内に抱える日本の伝統的金融機関としては、上記観点と新興技術への積極的なキャッチアップの両立に基づく判断が求められる。*

*『すでに密集した状況にコンポーネントを追加することで、意図せず新たな複雑さをもたらす可能性』について「ASAP: デジタル資産プラットフォームの概念モデル」(本編p.19)でも指摘されている。

●暗号資産へ取り組む伝統的金融業界へ向け
足許、日本国内では暗号資産に関する規制の大幅な方針転換が進んでいる。
暗号資産を巡っては対極的な意見が存在。社会的価値を意識した事業設計が中長期的信用の醸成に繋がる。

●トークン化(デジタル化)対象資産の拡大へ向け
現行の法制下で紙の券面発行が前提となりデジタル化の障害となっているものについては、法改正等により解消されることが望まれる。(券面不発行や原簿への記録による第三者対抗要件の具備等)



▼目次
  1. 分散型金融(DeFi)の登場と既存の金融業務へのブロックチェーン技術導入の動き

    1. 広義のDeFiと狭義のDeFi
    2. ブロックチェーン技術解説
  2. 既存金融商品のトークン化(アセットトークナイゼーション)

    1. セキュリティトークン(ST)
    2. ステーブルコイン(SC)
    3. [考察]トークナイゼーションのシステム構成 ~単一台帳でのみ生じる効率性~

      [参考]統合台帳(プラットフォーム)による効率化についての指摘論考

    4. トークン化対象拡大の議論
    5. [参考]「コントロール可能な電子記録(CER)」 ~「記録の支配」の概念の登場~

      [参考]その他のトークン化アセット

  3. 暗号資産(ネイティブトークン)と狭義のDeFi

    1. 暗号資産(ネイティブトークン)
    2. 代表的なDeFiプロトコル
  4. まとめ

    1. まとめ




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