本レポートでは、デジタルアイデンティティの動向を整理・考察する。
【サマリ】
先行する欧州での議論
欧州では、個人と法人を一体的、かつ様々なトラストサービスについて網羅的に検討が行われた上で規則として発効し、実現の期限も設ける形で社会実装を早期に進めようとしている。
日本でのトラストサービスに関する議論
トラストサービスのような公共〜準公共のトピックについては、政府が早期に指針を打ち出すことが望まれる。新サービスの検討に取り組む民間企業は、政府がソリューションを用意する公共分野であるのか、各企業でサービスを検討する競争領域となるのかが判然としないと事業検討が難しい。取り組んだ分野が公共サービスで上書きされると投資が無駄となる。
進み始めた日本での社会実装
日本では、デジタル庁主導で個人の身分証明の分野での社会実装が急速に進んでいる。 今後「mdoc発行管理システム」(p.6)の提供が開始し、様々なデジタル証明書が発行されることが期待される。
技術動向
証明書フォーマットにおいても、提示のプロコトルにおいても、選択的開示(p.10)が利用できる技術標準が採用されつつある。しかしながら、アイデンティティウォレットアプリに提示する属性を選択するUIが無ければ利用することができない。デファクトスタンダードとなりうるスマホOSのアイデンティティウォレットに選択的開示を利用できるUIが実装されることが望まれる。
今後の展望
今後、人に変わって様々な処理を行うAIエージェントや物理的なロボットが社会に増えてくると、それらの身元を確認するためのアイデンティティ証明書についての議論も深めていく必要が考えられる。
▼目次
デジタルアイデンティティに関する動向の概要
- アイデンティティとは
- 社会実装が進むアイデンティティのデジタル証明書とIHVモデル
- マイナンバーカードの属性情報のスマホ搭載
- 欧州で進む法人のデジタルアイデンティティ整備
- デジタルデータの発出元法人を示すeシールの普及
デジタルアイデンティティ技術の概要
- デジタルアイデンティティ関連技術の構成
- 代表的な証明書フォーマット -mdoc/mDLとSD JWT VC-
- 証明書の転送に関わる技術 -OID4VCIとOID4VP-
法人のデジタルアイデンティティに関する議論
- eIDASでの法人デジタルアイデンティティに関する議論
- 日本での法人デジタルアイデンティティに関する議論
まとめ
- まとめ
- 考察・今後の展望
▼執筆者
先端技術ラボ 市原 紘平
先端技術ラボ 市原 紘平
専門領域
Web3研究に取り組み、2018年からセキュリティトークン等をSMBCグループ内で啓蒙。現在、事業企画への生成AI活用に興味。
■ 本件に関する取材依頼等のご相談に関しましては、こちらのフォームよりご連絡ください。
ご連絡の際に、本件のタイトルを件名、または問い合わせ内容にご記載いただきますと、ご案内がスムーズです。