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JRI Future Signal#9 個人が少量発電する社会

(背景)無意識に発電ができるデバイスの研究開発
地球温暖化が喧伝されるなか、一部の先進国では炭素税の導入やレジ袋の廃止といった環境対策が議論の俎上に上がるようになった。とはいえ、未だに石油や石炭に依存した火力発電が世界的にも中心のままだ。

近年の電子工学の研究では、様々なデバイスや手段で発電する手法の開発が盛んとなっている。
例えば、オランダ鉄道のユトレヒト駅にはブランコ型発電機があり、このブランコを漕ぐことで待ち合わせの暇つぶしにスマートフォンを蓄電することができる(参考:公園の発電所化?ブランコ型発電機) 。
その他にも、発電パネルを埋め込んで最大10時間点灯可能なサッカー場、貧乏ゆすりで発電してスマホが充電できる自家発電チェア、伸縮やねじれで1kg当たり250Wの電気を発生させるハイテク糸、といった意識せずとも発電できる手段が少しずつ登場している。


現在の発電は意識的にお金をかけて行われているが、こうした技術が発展することにより、個人が意識せずとも発電出来てしまう社会が待ち構えているかもしれない。


(変化の概要)個人による分散型少量発電
今までは、発電機や発電所などの機械によって集約的に大量に発電する社会だったが、これからは個人が分散的に少量を発電する社会となる。
例えば、ブランコに乗ることは一種の娯楽だが、この娯楽によって発電ができれば人は苦労せずに電力を得ることができるようになる。
また、多くの建物は発電パネルが埋め込まれており、ある程度の電力は歩き回ることで賄うことができるようになる。また、人々はIoT化した衣服を身に着けることで、ウェアラブルデバイスやスマートフォン程度の蓄電は衣服の擦れや伸縮で蓄電することができる。


この社会では、多くの電力は個々人の日常行動で賄われ、気軽に売買されることが当たり前になっており、昨今のUberEatsの配達員のように街中では人々が自転車で運動や買い物を行うついでに今晩消費する分の電力を発電する光景も当たり前になっているかもしれない。


(変化後の社会)分散型発電によって災害に強い街づくり
人だけでなく、これまでエネルギー消費していた機械(個人が利用する乗り物)なども発電するようになる。


将来は自動車や飛行機に乗ること自体が環境に悪いことと認識されなくなり、積極的に乗ることが推奨されるようになるのかもしれない(参考:空気をきれいにしながら走行する自動車)。
また、個々人の電力取引が当たり前となることで、系統的な電力サービスに依存する必要も無くなり、送電線等に対して過度に生活を依存することも無くなるかもしれない。それによって、災害に強い街づくりが出来るようになる。
これまでは、地震や台風によって停電や交通インフラが停滞し、被害が甚大化したことも多かった。しかし、分散型少量発電が可能となった社会では、個々人で蓄電できるようになることで、孤立してしまった際や災害後の生活物資の支援を行う際にも、市民が主導する形で復旧作業ができるようになるはずだ。


日本は災害大国と呼称されているように、今後も毎年のように災害に見舞われるだろう。災害を未然に防ぐことも肝要だが、起こってしまった災害から即時復旧できる術を個人が持つためにも、分散型少量発電を基点とした強い街づくりが求められるようになるかもしれない。


背景となる未来の兆し
公園の発電所化?ブランコ型発電機
オランダのユトレヒト駅にブランコ型充電器が設置され、話題を呼んでいる。サステナビリティを特集したイベントの一環だという。携帯程度は充電できるようで、1日100人ほどが利用したらしい。道具や運動器具に発電機能をつけたら、皆楽しんで発電しそうだ。
[出所]https://oranda.jp/info/traffic/swing/


空気をきれいにしながら走行する自動車
幼稚園児が描いた「空気をきれいにする車」の実現可能性を、機械工学の専門家がバックキャストの手法により検討を行った。いくつかの技術的ブレークスルーは必要ではあるものの、実現の可能性は大いにあることを示唆した。
[出所]https://www.jsme.or.jp/kaisi/1184-10/


CO2排出量によって利用制限されるブラックカード(クレジットカード)
購入した製品やサービスに応じてCO2排出量が算出されるクレジットカードが登場。ブラックカードはCO2排出量によって利用が制限されるという。通常お金を使わせたいカードを環境起点で利用制限するとは興味深い。しかもそれがブラックカード(富裕層向け)となっている点。
[出所]https://ideasforgood.jp/2019/06/01/doconomy/



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