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JRI Future Signal #3:トランスフォームして「愛着」を引き継ぐ

(背景)
 終わり方を考えてつくられたモノはどれくらいあるだろうか。  近年、多くのプラスチック製品が廃棄後に正しく処分されず、最終的に海に流れてしまい、生態系に影響を与えている。
 この問題に対応する循環経済対応商品として、仮に海に流出してしまっても、微生物によって自然に分解されるような材料を用いた製品が注目されている。たとえば、柄の部分が植物由来で、竹とデンプンの粉から作られている「竹の歯ブラシ」。(参考:消えてなくなる”使用期限”付き生活用品
 特にこの商品がユニークなのは、「使用期限を表示」し、長い時間が経つと「自然に分解が始まる」という性質を持たせている点だ。


(変化の概要)
 また、「(使用後に)新たなモノに変化する」商品も、一つの循環経済対応型だ。たとえば、エコな鉛筆「スプラウト・ペンシル」は、使い終わった後、種の入ったカプセル部分を植えると、花や野菜が生えてくる。短く、使いづらくなった鉛筆を、逆さにして土の中に植えると、お尻部分に付けられた水溶性のカプセルが溶け、中から種が出てくるという仕組みだ。
 このような「(使用後に)新たなモノに変化する」仕組みと、「自然に分解する」素材を組み合わせた例を考えてみたい。自然に分解する使用期限付きのひまわり柄のTシャツに、ひまわりの種の入ったカプセルを導入しておく。経年劣化し、使用期限がきたときに植えると、カプセルに仕込まれた種からひまわりが咲く。つまり、長年着た愛着のある衣服を捨てずに、違うモノに形を変えることで「愛着を引き継ぐ」という循環経済もありそうだ。
 特に、子供の成長と共に使えなくなった机などライフステージに最適化された商品においては、それをまな板や鉛筆など愛着を引き継げる別の商品に変化させることを前提とした商品(モノづくり)にシフトするかもしれない。



(変化後の社会)
 使用期限を設けることで、モノづくりのプロセスは「モノの終わり」からバックキャスト的に発想されるようになる。
 つまり、これまでは「商品の(初期)形状としての終わり=廃棄」だったが、循環経済対応時代においてはさらにその先で別のモノに形を変化させるために「回収して作り替える」、あるいは「使用者自身が作り替える」という新たなプロセスが追加される。もちろん「作り替える」ことには限界があるから、最終的に「自然に還す(分解)までを終わり」と捉えて、それまでにどのように変化させるか、何度変化を繰り返すかを設計することになる。
 また、自然に還すまでの過程の中で何度も形を変化させるステージにおいては、いかに「愛情を引き継ぐ」ことができるかが競われるようになる。さらには、ヒトに合わせてモノも一緒に成長・変化をしながら、ずっと一緒に暮らす、ずっと終わらせずに寄り添い続けるモノもやがては登場するかもしれない。



背景となる未来の兆し
消えてなくなる”使用期限”付き生活用品

使用期限付きのエコな歯ブラシが販売されている。期限は柄に刻印されている。材料は自然素材が中心で、時間が経つと、自然に分解が始まる。シェアリングエコノミーでモノの使用期限を引き伸ばす方向性とは逆に、通常限界まで使うものに期限をつけて分解してしまう方法も、エコの方向性としてありなのかもしれない。


[出所]The https://www.vogue.co.jp/change/article/this-weeks-sustainable-tips-bamboo-toothbrush?fbclid=IwAR1tqYXG0g-1ollI4sev7HZ-1q24XaCus8Gqo_goPeQ8g_HDrXFIH_KdAWg


関連リンク:
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