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JRI Future Signal #1:セレンディップな屋内空間

(背景)
 新型コロナウイルスの流行が続き、在宅での生活を余儀なくされる人が増える中、いわゆる「セレンディピティ」を得られる機会が減少している。「セレンディピティ」とは素敵なもの・魅力的なものとの予想していない偶然の出会いを表す語だ。今までは、旅行、ショッピング、イベント等で、様々な人や物との思わぬ出会いの場があったが、ウィズコロナの時代では、昔からの知り合いと「Zoom飲み」をしたり、すでに評判は知っている気になる本をアマゾンで注文したりするに止まり、セレンディピティを得ることが難しくなってしまった。そのような中、世界中で利用者が急増したアプリがある。ランダムに匿名のユーザー同士を電話でつなげるスマホアプリ、「ダイアルアップ」だ。2020年4月に入り一週間の平均会話時間が前年度の50倍以上にまで急増している。(参考:セレンディピティが誕生する次の場所は、電話?
 このアプリを使うと、ランダムに選ばれた世界中の人とおしゃべりを楽しむことができ、セレンディピティを得られる機会となっている。(日本でも、ダイアルアップと同様の機能を持つ「斉藤さん」が以前からあるが、こちらは若者が遊び目的で使っていることが多い)


(変化の概要)
 マッチングサービスは、今までは恋愛や結婚等、最適解を得る目的で使われることが多かった。しかし、リアル空間でのセレンディピティが減少していく世界においては、マッチングの対象は最適解だけに限られないだろう。また、単なる「出会い」を目的とするのではなくて、その「出会い方の演出」に主眼を置いたサービスも増えていくだろう。例えば、ダイアルアップにおける(顔が見えない)電話のように、敢えて情報を制限したり、手間のかかる部分を残したりすることで、より主体的な関与を求める出会いの体験を演出するサービスや、より商品に係るストーリーを伝えるような食品や嗜好品のサブスクリプションサービスが登場し、人や商品との心躍る出会いを求めて利用する人が増えるだろう。


(変化後の社会)
 もし、セレンディピティの体験の場となる「屋内空間」の設計にも変化が及ぶと考えれば、セレンディピティを彩るような雰囲気を瞬時に作り出せるような住居(例えば、壁・天井が全面液晶パネルで、優れた音響設備を備えた、映画館の発展形のような家)が登場してくるかもしれない。また、在宅かつバーチャル空間での生活が基本となり、セレンディピティへのニーズが、プライベートシーンのみならずビジネスシーンにも拡大したとしたら、ビジネスでの人とのつながりも、バーチャルでの出会いをきっかけに作られるようになり、現在のマッチングサービスの仕組みを応用したオープン・イノベーション支援サービスなども登場してくるかもしれない。



背景となる未来の兆し
セレンディピティが誕生する次の場所は、電話?

「ダイアルアップ」は、ランダムに匿名のユーザー同士を電話でつなげるスマホアプリ。いうなれば知らない人に電話を掛けられるアプリだ。 新型コロナウイルスの影響で、2020年4月に入り一週間の平均会話時間が前年度の50倍以上にまで急増した(2300時間)。予定調和的な人生を嫌い、生活のあらゆるものを無作為に決めるアプリを開発していた技術者によるもの。「ダイレクトに知らない誰かとつながれる仕組み」は、マッチングシステムなどで予見可能でコントロールされた状況に慣れてしまった私達に、偶然とリアルな人生の刺激を与えてくれそうだ。


[出所]The app that redials the lost art of random phone chats with strangers


関連リンク:
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