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ビューポイント No.2026-010

「金利のある世界」が本格的に到来~平成デフレの反動や、中東情勢の影響等を踏まえて

2026年05月26日 石川智久


2024年3月、日本銀行はマイナス金利政策を解除したが、その後も政策金利の引き上げは続き、2026年5月時点では0.75%となっている。そして、先行きも利上げ局面が続くとの見方が強い。金利のある世界が本格的に到来している。

まず、物価について、平成と令和を比較すると、全く逆の状況。平成が粘着質なデフレに苦しんだ時代であったが、令和はその反動のようにインフレが進む時代に。

金融市場についても平成と令和は全く様相が異なる。具体的には以下の通り。

(1) 政策金利:平成はゼロ金利・マイナス金利政策の時代(金利のない時代)。令和は着実に金融引き締めが実施されており、まさに本格来な「金利のある世界」が到来。
(2) 長期金利:平成期は一貫して低下。イールドカーブ・コントロール(YCC)導入時には0%近辺で推移。令和に入ると一転して上昇傾向。今や2.7%と約30年ぶりの高水準に。
(3) ドル円相場:平成期のドル円相場は、結果として大きなボックス圏で推移したが、全体的な流れとしては円高傾向で推移。令和は円安の時代。為替介入も平成は円高阻止であったが、現在は円安阻止へ転換。
(4) 平成の日本株式市場は、平成初頭のバブル崩壊から始まる長い冬の時代。令和は足元にかけて最高値更新が続く状況。

金融政策の先行きを展望すると、ターミナルレートは1.5%とみる。長期金利は、日銀の利上げ観測や財政支出の拡大観測などを背景に、緩やかな上昇傾向をたどる見通し。このシナリオの下では、株価も堅調に推移するほか、円相場も横ばい圏で推移する公算。

もっとも、中東情勢の緊迫化が長引いた場合、景気悪化への配慮を理由に日銀は政策金利を据え置く可能性がある。その場合、円安のさらなる進行や長期金利の急上昇が発生する恐れがある。そして、日銀は景気への配慮で短期的に金利を据え置いたとしても、最終的には政策金利を大幅に引き上げざるを得ない状況に追い込まれよう。いわゆるビハインド・ザ・カーブに陥ると、結果として日銀の利上げ幅は大きくなるとみられ、政策金利は2%を超えていく懸念大。

各部門への影響をみると、家計部門全体として金利引き上げはプラス、企業部門全体でもマイナス影響は限定的。ただし、家計部門では借入が大きい現役世代、企業部門でも借り入れが多い中小企業や不動産・小売等のセクターに悪影響が生じるといった影響格差が生じる公算大。金利上昇による悪影響を受けるセクターに配慮した政策対応が求められる。

金利上昇の悪影響が一番大きいのが政府部門。利上げ継続に加え、長期金利も急上昇が続くなか、利払い費急増リスクが高まっている。令和は、これまで先送りしてきた財政再建に否応なく踏み出さざるを得ない時代に。


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