ビューポイント No.2026-001 ソブリンAI:米中依存脱却への挑戦 2026年04月02日 岩崎薫里現在、AI のバリューチェーンにおける主要分野で、世界中が米中企業に依存している。これは、①国家安全保障上のリスク、②自国経済・産業の成長機会の阻害、③自国独自の事情への対応不足、への懸念を惹起し、その対策としてソブリン AIが注目されている。ここにきて各地で生じている軍事攻撃でAIが積極的に利用されていることも、ソブリンAIの重要性への認識を高めている。 ソブリンAIは「AIにおいて主権(ソブリンティ)を守る」を提唱しているだけに、一般論として広く共感を得やすい。もっとも、ソブリンAIの定義は定まっておらず、様々な解釈が可能である。厳格に解釈すれば、AI において外国の影響を排除するために、AI のバリューチェーン全般で国産化を目指す必要がある。しかし、こうした狭義の定義は非現実的かつ非効率であるとして、早々に後退せざるを得なかった。 今では、ソブリンAIをより柔軟に捉えて、国産だけでなく海外製についても、必要に応じて自国でコントロール可能とすることで、ソブリンAIの実現に近づくことができるとの考え方が主流になっている。そのもとで主に先進国では、国産と海外製を戦略的に使い分けながら、必要かつ可能と判断した分野での国産化や、米中とは異なる立ち位置からAIにおいて独自の強みを発揮するための取り組みが行われている。 日本でも、海外製を自国でコントロールできるような形で受け入れつつ、国産化の取り組みとして、国産基盤モデルの開発力強化や、先端半導体の国内生産拠点の整備などが進められている。また、日本の強みを活かせる分野としてフィジカル AIが注目され、その開発に注力しようとしている。 もっとも、ソブリンAIに向けた取り組みは決して容易ではない。フィージビリティやコストを十分考慮したうえで、分野を絞って集中的に投資するなど、戦略的に取り組んでいくことが肝要であろう。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)