ビューポイント No.2025-035 消費減税にかき消される賃上げの重要性 ― 高市政権でも欠かせない「成長と分配の好循環」 ― 2026年02月27日 藤本一輝衆議院選挙で高市首相率いる自民党が大勝し、経済政策として、公約にも掲げられた消費減税が注目を集めている。消費減税に必要な財源は年間で約5兆円にのぼり、高市政権が「責任」を持って財源を確保できるかは不透明感が強い。仮に財源を確保できたとしても、限られた財源を消費減税に使うのは適切ではない。消費減税は、①販売価格が十分に下がらない点、②景気が大きく変動する点、③再分配効果が弱い点、に課題がある。高市首相が掲げる低中所得者支援という政策目的に対して、消費減税という手段を選択するのは最適解とは言い難い。今後の国民会議での議論では、消費減税の実施を念頭に財源確保の手段だけを議論するのではなく、限られた財源をどう使うべきかについても併せて議論すべきである。家計支援策としては、ここ数年実施してきた電気・ガス代補助の方が、家計支援策として優れている点も多い。加えて、「給付付き税額控除へのつなぎ」という位置づけを重視すれば、給付付きの定額減税を実施して行政機関の間でデータを連携する仕組みの整備を促すことも一案である。衆院選では、「物価高で困る家計を支えるのは政府」と言わんばかりの論戦が繰り広げられたが、民間の活力を引き出し、企業が賃上げで家計を支える視点も忘れてはならない。経済成長に向けた重点分野の投資により経済全体の所得を増やしても、その果実を家計に分配しなければ、企業“だけ”が「強い日本」になりかねない。今後の高市政権には、①重点分野の投資戦略の具体化(前政権までとの差別化)だけでなく、②賃上げを中心に据えた分配(前政権までの継承と深化)、により成長と分配の好循環を実現することが求められる。(全文は上部の「PDFダウロード」ボタンからご覧いただけます)