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ビューポイント No.2025-031

円安を正当化する為替需給の変化 ~根本にわが国の稼ぐ力、潜在成長率の低下~

2026年01月23日 牧田健


日銀の利上げにもかかわらず、円安が止まらない。背景の一つに、高市政権の財政拡張に対する懸念があるが、わが国の実質政策金利の低さも一因。日米実質金利差に大きな開きがあるほか、高市政権による日銀の利上げに対する牽制姿勢を踏まえると、当面円安基調が続く公算。

為替需給面も円安を正当化。第一が、2011 年以降の貿易サービス収支の赤字化。東日本大震災を契機とする原油輸入の増加、生産拠点の海外流出などから、同収支は赤字化し、その後は円安基調に。足元では原油安を受け赤字が解消されつつあるものの、日中間の政治対立が黒字転換の足枷に。第二に、対外直接投資の増加。「需要のあるところで生産する」傾向が強まるなか、2020 年代以降、直接投資は対外証券投資を上回る水準まで増加。地政学的リスクなどによる一時的な国内資金回帰も生じ難い状況に。第三に、家計の対外証券投資拡大。新NISA導入を契機に家計の余資の半分が海外株式投信にまわっており、安定的な円の売り手に。

これら需給変化の根本的な背景として、わが国企業の稼ぐ力低下、わが国の成長期待の低下が指摘可能。実際、潜在成長率は、米国が 2010 年代以降緩やかに上昇しているのに対し、わが国では 2010 年代半ば以降低下し、格差は拡大。DXの遅れ等を受け一人当たりGDPの日米格差が拡大するにつれ、実質ベースで円が減価。

大幅な円安、国力低下を映じた円安は、海外投資家にとって円資産のバーゲンセールとなりかねず、また、高いインフレ率の常態化にもつながる。円安は、対外投資、株式投資で円安メリットを享受できる高所得層とそれが困難な低中所得層・年金生活者との間の所得格差、資産格差の拡大を招きうる。一方、わが国の人口動態やサービス産業の拡大等を踏まえると、円安を活用した輸出立国の再建はもはや困難。したがって、さらなる円安の回避に向け、DX等の推進加速、半導体など今後も拡大が見込まれる産業で競争力のさらなる強化等を通じて、潜在成長力を高めていく必要。


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